全国ユニオン定期大会/連帯強化による社会的労働運動の確立を提起

(2015年7月29日 調査・解析部)

[労使]

地域をベースに非正規や中小零細企業で働く労働者の組織化や労働相談活動を展開する地域ユニオンでつくる全国コミュニティ・ユニオン連合会(鈴木剛会長、3,000人)は7月25日、兵庫県・伊丹市で第14回定期大会を開催した。新活動方針では、協同組合など労組にとどまらない連帯強化による社会的労働運動の確立や積極的な企業支部づくりによる組織拡大、地域ユニオン結集にむけたコミュニティ・ユニオン全国ネットワークとの連帯再構築――などを柱としている。役員選挙は、鈴木剛会長、関口達矢事務局長を再選した。

幅広い層との連帯をアピール

あいさつした鈴木会長は、国会での労働法制、安保法制審議などの政治情勢に触れ、「民主主義を破壊する政府と民衆の全面的な闘いだ。全国各地でさまざまな市民団体、労働運動の仲間が闘っている。政権を倒す覚悟でこの大会に臨んでいる」と述べ、政権との対決姿勢を鮮明にした。全国の地域ユニオンの結集については、「地域の運動と信頼関係を結び直す活動を進めてきた。(未加盟を含む)全国にある100組織2万人の地域ユニオンをはじめ、いろいろな人と手を組んで運動を進めていくことが大事。地域の仲間たちとともに歩み、新しい社会をつくる」と強調して、幅広い層との連携を訴えた。また、労働者協同組合である「いたみワーカーズコープ」を新しい仲間に迎えることについて、「組合員が自ら事業を行う動きが世界に広がっている。働く人たちが職場を管理し、新しい世界をつくって運動している。仕事がなければ、みんなで仕事をつくる。もともとのコミュニティ・ユニオンの運動もこのような流れから始まった」と述べ、原点に回帰して社会的労働運動を強化する考えを示した。

協同組合運動との連携強化を「闘いの軸に」

方針では、社会的労働運動を目指す協同組合運動との連携強化について、「全国ユニオンの闘いの軸の一つに位置づける」とし、昨年オブザーバー加盟したいたみワーカーズコープの正式加盟を承認。①労働者協同組合を根拠づける法制度が未整備②労働組合運動での協同組合の位置づけが不明確――なことを課題に掲げ、協同労働である労働者協同組合法や労働者・市民による企業再生法などの研究会を立ち上げるとしている。

地域ユニオンの結集については、「全国ユニオンの母体となったコミュニティ・ユニオン全国ネットワークとの信頼関係を深め、改めてコミュニティ・ユニオンの横の連帯を構築し、社会的労働運動の広範な勢力結集に向けて尽力する」とし、中央省庁折衝や争議行動の共同開催を模索するとしている。

組織拡大の目標は5,000人組織の確立。企業支部づくりによる組織拡大について、いわゆる「追い出し部屋」問題で争ったリコーの従業員国内4万人を組織化のターゲットにする方針を掲げ、「全国ユニオンに単独加盟する『オールリコーユニオン/リコーグループ従業員組合』の建設をめざす」としている。

質疑では、「さらに資源を投入して、介護サービス分野の組織化を強化すべき。社会的に拡大している産業については、労組としてきちんと対応すべきだ」「政府の雇用にかかわる予算が(事業委託などによって)人材ビジネス業界に流れ込んでいる。雇用労働の世界に人材ビジネスが跋扈している状態だ。労組としてこれにきちんと対峙して取り組むべき」「女性の参画を進めるべき。三役に女性が入るような運動をつくることが課題だ」などの意見が出た。