賃上げの流れを継続し、今後に受け継ぐことができたと総括/連合の2015春季生活闘争まとめ

(2015年7月17日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)は16日、2015春季生活闘争の中央闘争委員会を開催し、今春闘の最終総括である「2015春季生活闘争まとめ」を確認した。平均賃金方式での最終的な賃上げ率は2.20%で、前年の2.07%を上回った。連合は賃上げ結果について、「経済成長と整合した賃上げの流れを提起した2014春季生活闘争からの流れを継続し、今後に受け継ぐことができた」と総括した。

最終集計結果は6,354円、2.20%の賃上げで前年を上回る

賃金引き上げの最終結果(7月1日現在)は、平均賃金方式でみると額で6,354円(定昇相当分込み)、率で2.20%となり(いずれも加重平均)、昨年をそれぞれ426円、0.13ポイント上回った。300人未満の組合だけでみると、額で4,547円、率で1.88%となっており、昨年をそれぞれ349円、0.12ポイント上回った。

一方、非正規労働者の賃金引き上げについてみると、時給労働者では賃上げ額(加重平均)は16.78円で、平均時給は917.93円。昨年に比べ賃上げ額は5.50円上昇した。一方、月給労働者の賃上げ額は4,038円で、昨年比1,811円プラスと大幅な増加となった。

まとめは賃上げ結果について、「回答水準については要求趣旨から言えば不満が残る」としたものの、「2年連続かつ昨年を上回る回答を引き出したことは、経済成長と整合した賃上げの流れを提起した2014春季生活闘争からの流れを継続し、今後に受け継ぐことができたものと考える」と評価。賃金の底上げ・底支えの取り組みの観点では、300人未満の組合の賃上げ結果から、「賃金相場の『底上げ・底支え』を一定程度実現させることができた」と振り返った。

一方、非正規労働者については「労働力不足の影響もあるものと認識するが、均等処遇実現にこだわった取り組みの成果であると受け止める」とした。

賃上げ結果を社会的に波及させることができたかどうかについては、「賃上げに関しては昨年からの賃上げの流れを、途切れることなくつなげることができたものと認識する」と評価し、「今後も賃上げの流れを継続し、働く者の将来不安の払拭をはかっていくことが不可欠」と付け加えた。

今春闘で賃上げと並んで柱にして取り組んだ時短については、「ワーク・ライフ・バランスに関わる要求は昨年以上に提出され、回答も昨年を上回っているが、全体の動きになっているとはいえない状況である」とし、さらに具体的な取り組みを推進していくとしている。闘争体制では、先行組合のヤマ場が例年より後ろ倒しとなったものの、「3月内に回答を引き出した組合の数は昨年以上に増えた」としている。

課題は底上げ・底支え、格差是正とワーク・ライフ・バランス実現

今後の検討課題としてまとめは、底上げ・底支え、格差是正の取り組みと、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた取り組みの2点について言及。底上げ・底支えでは、個人消費の拡大による経済の好循環の確立が必要との連合の主張に対する社会的な合意形成が図れてきているとし、「今後も社会的対話や賃上げの流れを継続する必要がある」と強調。また、消費拡大、企業業績拡大がさらなる賃上げを実現させるという好循環を定着させるためにも「引き続き『底上げ・底支え』の取り組みを強化する」などとしている。一方、ワーク・ライフ・バランス実現に向けた取り組みに関しては、すべての組合が取り組み、労使の取り組みを強化する必要があるとした。

中央闘争委員会でのまとめの確認を受け、同日で同委員会は解散した。同日、会見した古賀会長は、2.20%という賃上げ率について「一定の評価ができる」と述べたものの、「デフレ脱却と経済の好循環実現に向けて、今回の賃上げが大きな回答引き出しと言えるかといえばそうではない。よって2016闘争も大きく賃上げしていかなければならないとの方向性で、方針議論していく必要がある」との認識を示した。