野田委員長、平田事務局長ら新執行部を決定/NTT労組定期大会

(2015年7月15日 調査・解析部)

[労使]

NTT東・西やドコモ、データなど、NTTグループ企業の労組で構成するNTT労働組合(約17万人)は14~15日、都内で定期大会を開催し、2015春季生活闘争の最終総括を行うとともに、向こう2年間の中期運動方針等を決定した。また、役員改選を行い、野田三七生・中央執行委員長、相馬真琴・副中央執行委員長(ともに再任)、平田雅則・事務局長(ドコモ本部出身、新任)ら、21人でつくる新執行部体制を選出した。

「中期経営戦略の実現が、組合員・社員の雇用の安定確保と労働条件の維持・向上に資する」(野田委員長)

冒頭であいさつした野田委員長は、NTT持株会社が5月15日に公表した中期経営戦略「新たなステージをめざして2.0」(※1)について、「今年は電気通信の自由化(1985年)から30年の節目。NTT労使にとってこの30年は、まさに『競争』と『変化』への対応が求められた歳月だった。1997年をピークに固定電話の契約数は半減し、携帯電話はさまざまな機能を搭載したスマートフォンへと進化を遂げ、情報通信・サービスの市場環境は、業界の垣根を超えた競争へと変化した。今後、各センサーや家電、自動車、住宅システムなど、あらゆるものがインターネットにつながる『IOT/IOE』時代が到来する中で、日本の情報通信市場のリーディングカンパニーだったNTTは、多くの中の一事業者(One of them)であることを認識しなければならない」などと指摘。

そのうえで、「急速に進展するグローバル化とも相まって、市場は大きな転換期を迎えており、NTTグループの将来に向けて、新たなチャレンジやビジネスモデルの創造は必須だ。『新たなステージをめざして2.0』は、NTTグループの持続的な成長・発展に寄与するとともに、その実現が組合員・社員の雇用の安定確保と労働条件の維持・向上に資すると受け止めている。2017年度末を目標年次と定めた戦略の具現化に向けては、持株会社の統括・調整機能の発揮によるグループガバナンスの徹底と、事業を担う人材の育成・確保・配置が極めて重要との認識に立ち、企業本部との連携を前提に、中央本部としての役割発揮に努めていく」などと強調した。

「社会的要請を背景とした今次春闘の中では『到達点』として相対的に評価」/2015春闘最終総括

大会では、2015~16年度の中期運動方針として、①NTTグループ中期経営戦略『新たなステージをめざして2.0』をはじめとする、グループ事業運営への対応強化による雇用確保と労働条件の維持・向上、②「教育・人財育成」の充実と「仲間づくり」、福祉等の連動を意識した運動の着実な実践による組織強化、③第24回参議院議員選挙の必勝による安心・希望の社会づくりの実現と政治活動の推進、④「東日本大震災」からの復興・再生に向けた持続的取り組みの強化――の4本を重点に据えることなどを満場一致で決定した。

また、一般経過報告の中では、2015春季生活闘争を最終総括した。NTT労組として2年連続で、月例賃金の改善を軸に取り組み、一人平均2,400円の引き上げ回答を得たこと(※2)について、「要求(6,000円)からすれば不満が残る結果だったが、2014春季生活闘争の決着内容を踏まえ、社会的要請を背景とした今次春闘の中で、NTTグループが置かれた状況を勘案した『到達点』であると認識し、相対的に評価できる取り組みだった」(高橋政士事務局)などと一定評価した。

一方、2年連続で厳しい結果となった非正規労働者の処遇改善については、「2014春季生活闘争から『正社員化の取り組み』を強化した結果、およそ1年間で2,000人を超える正社員化につながった。だが、100社を超えるNTTグループに帰属する非正規労働者は、各社の事業運営に応じて働き方・労働条件等がまちまちであり、月例賃金改善に向け従前の闘い方で労使交渉を重ねても、結果を出すことができなかった」などと指摘。「非正規労働者の処遇改善等につなげるには、雇用・人員政策等を踏まえた政策的な取り組みが必要なため、秋年段階から組織検討を行っていく」考えを強調した。

さらに、来春闘に向けた課題については、「統一闘争を踏まえた決着時期のあり方や企業本部対応各社の組織事情、財務状況等を勘案した統一闘争についても課題になった」とし、「これらについては2016春季生活闘争に向けて組織論議を行っていく」方針を確認した。

  • ※1 これまでの「中期経営戦略」で掲げてきた「グローバル・クラウドサービスの拡大」と「ネットワークの競争力強化」をさらにフォローアップしつつ、①バリューパートナーへの変化の加速や、さまざまな事業者とのコラボレーションによるB2B2X型モデルの推進による新市場開拓、②一株当たり利益(EPS)の再設定と3年後の目標達成、③東京オリンピック・パラリンピックや地方創生を契機とした、さまざまな事業者とのパートナリングや自治体との連携強化――などをめざすもの。
  • ※2 NTTグループの2015春季生活闘争の内容については、『ビジネス・レーバー・トレンド』2015年6月号「主要100社の賃上げ・一時金回答」(PDF:475KB)のNTTグループの記事を参照。