労働者保護ルールの維持など政策・制度に関する要求原案を討議/連合の政策・制度中央討論集会

(2015年5月20日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)は18、19日の両日、都内で政策・制度中央討論集会を開催し、「2016~2017年度 政策・制度 要求と提言」の原案について討議した。原案では、「安心感を抱くことができるワークルールの確立」などを強調。具体的な要求項目としては、均等待遇原則の法制化や労働者保護ルールの維持・強化などを盛り込んだ。

連合では2年に一度、政策・制度に関する要求項目や提言内容について、構成組織を交えて討議してとりまとめ、連合として継続的に取り組み実現をめざす政策を明らかにしている。東日本大震災以降は、復興・再生に向けた政策に関する要求項目を独立させている。討論集会では、産別組織や地方連合会などを交え、2016~17年度の要求と提言に関する原案について討議した。

雇用政策を視野に入れた復興計画の実現を

原案は、「東日本大震災からの復興・再生に向けた政策」と「連合として継続的に取り組み実現をめざす政策」の2部構成となっている。

復興・再生に向けた政策では、集中復興期間が2015年に終了することになっているなかで、避難生活者が2014年10月時点でも24万人にのぼり、海岸復旧や復興住宅、土地区画整理事業などでは完了したものは2割程度にとどまっていると指摘。今後の復興・再生に向けた政策の柱として、雇用創出を視野に入れた復興計画の実現など7項目を盛り込んだ。具体的な雇用・労働政策として、被災者雇用開発助成金の継続や、重点分野雇用創造事業の期間の必要に応じた延長などのほか、復興計画の担い手に対する国による職業訓練の支援などを求めている。

原子力発電所事故対応の関連では、労働安全衛生対策の強化が柱となっており、除染業務等において偽装請負や違法派遣などの労働法違反をなくすための指導・監督の強化や、業者による除染手当の中間搾取に対する指導・監督強化などを要望している。

ディーセント・ワークの確立や分厚い中間層の復活を強調

継続的に取り組み実現をめざす政策では、「誰もが働くことの安心感を抱くことができるためのワークルールとディーセント・ワークの確立」や「安定的成長と適正な配分による分厚い中間層の復活」などを強調。柱の1つである雇用・労働政策では、雇用形態を問わない均等待遇原則の法制化や、労働者派遣法における規制緩和の阻止、整理解雇の4要件の法制化や解雇の金銭解決制度の導入阻止などのほか、若年者・女性・高齢者・障がい者の雇用対策の強化、男女雇用機会均等法の「男女雇用平等法」への見直し、労働者代表制の法制化の検討などを盛り込んだ。

討論集会では、4つの分科会に分かれて討議を行った。雇用・労働政策などをテーマとした第2分科会では、高齢者雇用について「法定定年年齢の65歳への引き上げは『検討する』でなく、より積極的な記述とすべき」(UAゼンセン)、労働者派遣法について「労働者派遣法においても均等待遇はもとより雇用の安定に資する取り組みが必要」(UAゼンセン)、過労死等防止対策について「『過労死ゼロの実現に向けて』という一歩踏み込んだ提言を」(日教組)、男女平等政策について「非正規の育児休業が取りづらい」(全国ユニオン)などの発言があった。

連合では、討論集会での各組織からの要望を踏まえ、今後、「要求と提言」案を作成。6月3日に開く中央委員会で最終決定する。