連帯社会インスティテュート(通称:連合大学院)開講
/法大と連合が会見

(2015年4月15日 調査・解析部)

[労使]

法政大学と連合および日本労働文化財団が連携し、今年4月から法政大学大学院に新たに設けられた修士課程プログラムである「連帯社会インスティテュート」(通称:連合大学院)が13人の第1期生を迎えて開講するに当たり13日、田中優子・法政大学総長、古賀伸明・連合会長らが同大学で記者会見した。

写真:法大と連合が会見

社会運動の役割担う次世代リーダーの養成めざす

同インスティテュートは、労働運動、NPO、社会的企業など社会運動の役割を担う団体で活動するリーダー・スタッフを専門的に養成することを目的としている。こうしたさまざまな組織と、大学が密接に連携し、一つの研究・教育機関を設立するわが国初の試みといえる。

開講の発端となったのは、2009年に連合が結成20周年の提言で提起した「労働教育の推進と組合リーダーの育成」。その具体化として構想されたのが連合大学院で、法政大学と開講準備を進めてきた。その結果、同大学の政治学研究科および公共政策研究科を母体に、連合は長年の活動からの専門的な知見・資金等を提供し、法政大学は、教育・研究面の知的貢献の実績や豊富な人的資産、教育研究施設等を活用することで合意し、設置されることになった。

同課程では、政治学、法学、経済学、経営学、社会学など幅広い分野の概論を専門基礎科目として履修するほか、専門科目として労働組合研究、NPO研究、協同組合研究、社会的企業研究、運動論研究等の専門的・実践的な学びを通じて、調査分析能力や政策立案能力を身につけるための教育・研究を行う。

主に社会人を対象としていることから、夜間開講(週2日程)と土曜日の昼間開講を組み合わせる。修士課程に2年以上在学し、36単位を修得、かつ修士論文の審査に合格すると学位が授与される。初年度は組合など指定団体の推薦を受け、入試選考した9人と一般の社会人入試枠で合格した4人の計13人が入校した。

「現場を変える人材送り出したい」(田中総長)「高度専門職業人の輩出を」(古賀会長)

記者会見した田中法大総長は「自律的に行動できる市民を育てることが大学にとっても重要。働く現場を変えるような人材を送り出すことが責務である」と述べ、市民による連帯社会を形成する社会運動の担い手の育成に貢献したいと表明。古賀連合会長も「社会・労働運動の次世代育成、非営利・市民セクターで実践力のある高度専門職業人の輩出を強く期待している」とし、教育・研究を通じた大学院としての発展にも期待感を示した。