パートの時給引き上げ額18.4円、率で2%に/UAゼンセンの妥結集計

(2015年4月10日 調査・解析部)

[労使]

UAゼンセン(逢見直人会長)は8日、都内にある本部で会見を開き、2015賃金闘争の7日時点での要求・妥結状況を発表した。パートタイマーの時給引き上げの妥結実績は、単純平均で18.4円(制度昇給も含む)で、引き上げ率は2.00%。同一組合で前年と比べると、額ではプラス4.2円、率ではプラス0.47ポイントとなり、UAゼンセン本部によると率の上昇幅は2014闘争時の倍以上の大きさになるとしている。一方、正社員の賃上げ妥結結果をみると、300人未満の賃上げ(体系維持原資含む)の額・率の対前年差が、ともに全体の結果を上回っており、「中小も全体平均から遜色のない賃上げになっている」(松浦昭彦書記長)としている。

正社員の平均賃上げ額は6,290円

正社員の妥結・進捗状況からみていくと、参加組合数は1,849で、妥結組合数は23.1%にあたる428組合となっている(組合員数ベースでは51.4%)。300人未満だけでみると、組合数での妥結進捗率は14.9%(組合員数ベースでは21.4%)となっている。

正社員の妥結結果をみると、「体系維持原資」と「賃金引き上げ分」を合わせた賃上げ額全体の単純平均は6,290円で、率にすると2.33%。「賃金引き上げ分」に限ると1,605円で、率では0.57%となっている。

300人未満の組合では、賃上げ額全体の単純平均は6,008円で、率は2.33%と組合全体計と同率。「賃金引き上げ分」は1,346円で、率では0.50%となっている。

これらの結果を同一組合で前年と比べると、組合全体計では、賃金引き上げ分が510円増(率では0.17ポイント増)で、賃上げ額全体では520円増(同0.18ポイント増)。300人未満の組合では、賃金引き上げ分が375円増(率では0.13ポイント増)で、賃上げ額全体では566円増(同0.21ポイント増)となった。

会見で松浦書記長は、「300人未満の中小も全体平均と遜色のない賃上げになっている。要求の水準からは乖離があるが、ほぼ大手や中堅と比べても遜色がない」と話した。

「パートの賃金、正社員に近い上がり方」

一方、パートタイマーの妥結実績をみると、時給引き上げ全体の単純平均は18.4円で、率にすると2.00%。「制度昇給」と「賃金引き上げ分」とに分けてみると、「制度昇給」は9.1円(率にすると1.00%)で、「賃金引き上げ分」が9.9円(同1.08%)。

同じ組合で前年と比べると、「制度昇給」が1.0円増(率では0.08ポイント増)、「賃金引き上げ分」が3.2円増(同0.34ポイント増)で、時給引き上げ全体では4.2円増(0.47ポイント増)。

「賃金引き上げ分」の引き上げ率と、時給引き上げ全体の引き上げ率を正社員の結果と比べると、「賃金引き上げ分」では83.3%の組合が正社員を上回る率を獲得。時給引き上げ全体では44.7%と4割以上の組合が正社員を上回る率を引き出している。

パートタイマーの時給引き上げ結果について松浦書記長は、全体平均の引き上げ率の対前年ポイント差は「去年より2倍以上のアップだ」とし、また、「賃金引き上げ分」の引き上げ率が1%をクリアしたことについて、月額換算して引き上げ額にすると1,600円程度になることから、「正社員とほぼ同じ賃上げ額になる。正社員に近い賃金の上がり方が実現できている」と評価した。

契約社員の妥結実績(単純平均)は、「賃金引き上げ分」が1,635円(率にすると0.83%)で、引き上げ額全体では4,237円(同2.14%)となっている。

会見には、松井健・本部常任中執、木暮弘・流通部門事務局長、古川大・総合サービス部門事務局長、高岡裕治・製造産業部門常任執行委員も出席。短時間組合員をもっとも多く抱える流通部門の木暮事務局長は、パートタイマー等の賃上げ結果について「人手不足もあるのかもしれないが、パートタイマーなどの仕事が基幹化していることも大きい」などと説明した。