中堅・中小の賃上げ1,922円/金属労協登録組合の集計

(2015年4月8日 調査・解析部)

[労使]

金属労協(JCM、相原康伸議長)に加盟する自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の5産別のトップが3日、ここまでの中堅・中小登録組合も含めた回答状況について会見した。相原議長はJCM全体の回答状況について、「継続的かつ昨年よりも高い賃上げの波を、業種や規模の垣根を越えて行き渡らせることができた」と前向きに評価した。賃上げを獲得した組合数は前年同時期の実績を12組合上回る118となり、賃上げ獲得額の平均は1,922円で、前年同期実績を676円、前年最終実績を658円上回っている。

一時金は0.12カ月増の4.87カ月

自動車総連会長であり、JCM議長も務める相原氏は、JCM全体の闘争の同日までの回答状況について、「JCMの中堅・中小登録組合の9割で賃上げを獲得し、平均額は昨年を上回っている。JCM全体でみても、賃上げ獲得組合数、獲得額ともに昨年を上回っている」とし、これらの結果から「継続的かつ昨年よりも高い賃上げの波を、業種や規模の垣根を越えて行き渡らせることができた。一連の経済好循環サイクルを実現するうえで、金属産業として一定の社会的責任を果たしつつある」と総括した。

同日現在での中堅・中小登録組合の賃金に関する回答結果をみると、全登録組合169のうち146組合が何らかの要求をしており、うち賃上げを要求したのは142組合。賃上げ要求額の平均は6,015円となっている。中堅・中小登録組合とは、JCM加盟産別の各産業・業種や地域に影響を与えるとみなされる労組で、毎年、抽出される。JCMは、これらの組合の3月末までの回答状況を毎年集約、公表することで、交渉を継続する中小労組の早期回答と相場波及を支援している。

要求組合のうち、回答を受けたのは132組合で、すべての組合が賃金構造維持分を確保しており、さらに賃上げを獲得した組合数は前年同時期の実績を12組合上回る118となっている。賃上げ獲得額の平均をみると、1,922円で、前年同期実績を676円、前年最終実績を658円上回る。

一方、中堅・中小登録組合の一時金の回答状況をみると、要求回答方式をとっているのが139組合で、業績連動方式が27組合。支給額・月数が確定している組合は122組合あり、平均月数は4.87カ月と昨年の最終実績と比べると、0.12カ月上回っている。

ヤマ場の集中回答日(3月18日)に回答引き出す集計登録組合も合わせた賃金の全体集計をみると、3,284の構成単組のうち、要求提出したのは2,543組合で、うち賃上げ要求したのは2,105組合、要求額平均は5,770円。回答を受けたのは1,214組合で、うち賃金構造維持分を確保したのは1,058組合だった。さらに賃上げも獲得した組合数は830で(前年同期実績比29組合増)、賃上げ獲得額の平均は1,912円(同548円増)となっている。

一時金の平均月数は4.57カ月(973組合)。昨年と比較できる879組合のうち、55.1%にあたる484組合が昨年実績を上回った。

回答集約組合の約9割が賃金水準の改善を獲得(電機連合)

中小の交渉が本格化している現在の交渉状況について、産別トップそれぞれがコメントした。自動車総連の相原会長は、4割の組合が回答を引き出しており、賃金改善分の獲得率は86%で昨年同時期を7%上回っているなどと説明。ただ、その一方で、「中小は回答引き出しに苦労している状況も垣間見られる」と話した。電機連合の有野正治委員長は、3月31日現在で577の登録組合のうち、422組合で回答集約しているとし、約90%にあたる377組合で賃金水準の改善を獲得したと説明した。改善額の単純平均は2,772円で、加重平均にすると3,000円にかなり近くなるという。

中小労組を多く抱えるJAMの眞中行雄会長は、3月31日現在で、交渉単位1,590組合の要求提出率が72%で、回答引き出し率が40%、妥結率が25%となっていると報告。賃上げ額(賃金構造維持分含む)の全体平均は6,132円(前年同期比556円増)で、300人未満で5,649円(同420円増)となっているなどと説明するとともに、いわゆるベアの取り組みについて、要求組合数は昨年並みだが、回答引き出し組合数は30組合ほど増えており、ベア獲得数は拡大していると説明した。

基幹労連の工藤智司委員長は、289の構成組織のうち、9割の組合が要求提出しており、172組合が回答を引き出していると報告。また、賃金について、2015年分の単年度要求をしている組合は127組合あり、ここまでの回答額の平均は1,251円などと説明した。

全電線の海老ヶ瀬豊委員長は、3月31日までで、34のすべての構成組織で交渉は終結しているとし、賃金については32組合で引き上げを要求し、23組合で獲得したと報告。引き上げ分の平均は1,747円となっているとし、「世間動向からすれば満足できるものではない」としながらも、昨年を上回る水準を獲得できていることから「着実な一歩を踏み出せた」と評価した。

2015年闘争要求・回答状況総括表(2015年4月3日現在)/金属労協HP新しウィンドウ