金属・機械大手組合の多くが2,000~3,000円台のベア/JAMの賃上げ回答状況

(2015年3月20日 調査・解析部)

[労使]

金属・機械関連の中小労組を多く抱える産別労組のJAM(眞中行雄会長、35万8,000人)に加盟する大手組合では、18日16時までにオークマ、島津、アズビル、シチズン、ジーエス・ユアサ、NTN、日本精工、クボタ労連、コマツ、井関農機が回答を引き出した。その多くが2,000~3,000円台のベアを獲得している。

大手10組織の平均賃上げ額は2,758円

JAMでは、大手で交渉のリード役となる11単組をAグループと位置付けて、金属労協の集中回答日である3月18日までに回答を引き出すこととしている。

18日16時現在、ヤンマーを除くAグループ10組織の平均賃上げ額は2,758円。組織ごとに賃上げ分の回答状況をみると、オークマが30歳銘柄でベア9,000円の組合要求に対し、経営側の回答は平均でベア2,285円(前年比138円増)。以下、同様に、島津が35歳銘柄でベア約9,000円の要求に対し回答は平均でベア3,000円(同1,000円増)、アズビルが平均でベア3,830円の満額回答(同2,180円増)、ジーエス・ユアサが35歳銘柄でベア9,000円を求めたのに対し回答は平均でベア2,000円(同1,000円増)、NTNは30歳銘柄でベア9,000円の要求に対し30歳標準労働者のベア1,900円(同900円増)、日本精工が35歳銘柄で制度改定分を含む9,000円の引き上げ要求に、回答は35歳標準労働者で住宅手当改定原資を含む引き上げ額3,800円、クボタ労連が平均で「定期月俸改定額+T職賃金改善を含む9,000円」の要求に対し賃金改善2,700円(同賃金改善300円減)の回答、コマツが平均で賃金改善9,000円(再雇用・非正規含む)の要求に対し、賃金改善2,500円となっている。

非正規労働者の処遇改善も

このほか、昨年は2万4,000円を特別支給として一時金に加算して決着したシチズンは、35歳銘柄でベア9,027円の要求に対し、臨時昇給平均2,804円の回答。昨年、30歳標準労働者でベア1,200円を獲得した井関農機はベアゼロだった。

なお、島津とコマツは、別途、非正規労働者の処遇改善のための原資も獲得しているという。

こうした先行組合の回答状況について眞中会長は、金属労協本部での会見のなかで、「JAMのなかにおけるリーディング労組の役割ならびにJC共闘組織としての役割それぞれ一定の成果を上げたと思っている」などと述べた。

一時金では、オークマが年間5.2カ月の組合要求に対し、経営側の回答は年間5.1カ月分。ジーエス・ユアサは年間5.4カ月の要求に対し5.2カ月、NTNも年間5.4カ月の要求に対し5.3カ月の回答となった。クボタ労連は組合側が年間220万円を要求し、210万円で決着。井関農機は年間4.5カ月を要求に対し、3.07カ月で折り合った。

なお、島津、アズビル、シチズン、日本精工、コマツは業績連動算定方式を採っている。

Aグループ登録組合以外の回答も相次ぐ

一方、今春闘ではAグループ以外でも、集中回答日16時までに8組合が回答を引き出した。主な賃上げ分の要求・回答の中味をみるとNOKグループユニオンが平均で賃上げ3,500円の満額回答、カシオ労連が9,000円の賃上げ要求に対し賃金改善3,000円、全矢崎がベア5,824円の要求に対しベア2,800円、ボッシュ連合会がベア9,000円要求に対しベア2,000円+α、スタンレー電気がベア9,000円要求に対しベア2,300円、マキノがベア8,392円要求に対しベア2,500円、浜松ホトニクスがベア9,000円要求に対しベア3,000円など。日本電子連合は35歳銘柄でのベア6,000円要求に対し、回答は35歳標準労働者でベア2,000円となっている。

一時金の回答は、NOKグループユニオンが年間5.3カ月、カシオ労連が年間5.45カ月、全矢崎が年間5.02カ月、日本電子連合が年間4.5カ月、スタンレー電気が年間5.5カ月、マキノが年間5.0カ月、浜松ホトニクスが年間5.3カ月。業績連動(固定3カ月+業績)方式のボッシュ連合会は、業績連動5.975カ月の回答が示されている。

妥結平均は6,383円で前年比666円増

一方、JAMが3月18日に公表した闘争状況報告No.5によると、交渉単位組合は1,590組合で、このうち要求を提出した組合は74.7%にあたる1,188組合。そのなかで賃金要求を提出したのは1,059組合(構成比66.6%)となっている。これまでに回答を受けた組合は293組合で、妥結したのは113組合。

平均賃上げでの要求額は1万11円で、回答額は5,936円、妥結額は6,383円。同一組合の前年比較では、要求が2,095円増、妥結も666円増えている。これを300人未満の組合に限ってみると、要求額は9,771円で、回答額は5,473円、妥結額は5,702円。同一組合の前年比較では、要求で1,942円増、妥結で416円増えている。

賃金構造維持分を明示している単組の状況をみると、賃金構造維持分を明示している784組合のうち、735組合が賃金改善も要求している。賃金改善分の要求は平均6,208円で、回答は2,088円となっている。

年間一時金の妥結平均は4.66カ月

一時金は、半期要求組合(667組合)では、要求は平均2.36カ月、回答は179組合の平均で2.10カ月、妥結は73組合の平均で2.26カ月となっている。同様に、年間要求組合(447組合)をみると、要求は平均4.79カ月、回答は107組合の平均で4.40カ月、妥結は35組合の平均で4.66カ月。妥結額を同一単組で前年と比較すると、半期が0.09カ月増、年間が0.28カ月増となっている。