集中回答日前に小売、外食でも妥結相次ぐ/ニトリで10,185 円、すき家で7,700円

(2015年3月18日 調査・解析部)

[労使]

2015春季労使交渉の集中回答日(3月18日)を前に、小売、外食でも妥結するところが出始めた。家具等を製造・販売するニトリホールディングスは16日、総合職社員(正社員)の賃金をベア等賃金改善5,222円(1.62%)を含む一人平均で10,185円(3.16%)、パート・アルバイト社員の時給を一人平均30.5円(3.35%)引き上げることで妥結した。また、同日、牛丼等で知られるすき家を経営するゼンショーホールディングスは、対象となる正社員の月例給について、ベア2,000円(0.65%)を含む一人平均で7,700円(2.50%)引き上げることなどを発表した。

パート・アルバイト社員も時給30.5円(3.35%)アップ/ニトリ

3月16日付けの会社発表によると、ニトリ総合職(組合員3,173人、平均年齢31.0歳)の賃金改定は、定期昇給4,963円(1.54%)+ベースアップを含む賃金改善5,222円(1.62%)で、一人平均10,185円(3.16%)。また、一時金についても、前年基準比プラス0.38カ月(2.42%相当)の5.20カ月に引き上げ、結果として一時金を含む賃金改定は一人平均17,992円(5.58%相当)に及ぶという。

パート・アルバイト社員(約16,000人)についても、2年連続ベアとなる時給の一人平均で30.5円(3.35%)の増額を決定。同社は、こうした決定に至った理由について、「海外品輸入主体の当社にとって、昨年度より継続する円安基調は更なる逆風であり、小売業界全体の景況が必ずしも上向いていないことなどを勘案すると、経営環境は決して楽観視できない。しかしながら、経済の好循環の2巡目を回していくため、および従業員に対する賃金改善、労働環境改善を含めた労働条件の改善は優秀な人材の確保・育成に繋がり、ひいては生産性向上に繋がるものとして今回の春季労使交渉に臨んだ。その結果、今年度は例年以上の賃金改定を決断した。また、パート・アルバイト社員についても例年以上の賃金改定が必要と考え、総合職社員と同水準での賃金改定を実施することとした」などと説明している。

2015年春季労使交渉による賃金改定実施について(株式会社ニトリホールディングス)新しいウィンドウ

大卒初任給も4,000円増額へ/すき家等ゼンショー

一方、ゼンショーホールディングスも同日、2015春季労使交渉の妥結結果を公表した。それによると、すき家を含めた対象会社で、対象となる正社員(911人、平均年齢32.9歳)の月例給について、定期昇給5,700円(1.85%)+ベースアップ2,000円(0.65%)と、一人平均7,700円(2.50%)の引き上げで合意。また、2015年4月入社の大卒初任給についても、4,000円の増額となる20万5,000円への引き上げを決めたという。

2015年春季労使交渉について(株式会社ゼンショーホルディグス)新しいウィンドウ

UAゼンセン傘下の妥結第1号はすかいらーく労組、一人平均賃上げ10,500円

なお、外食分野では3月4日、ファミリーレストラン最大手のすかいらーく労組が、一人平均10,500円(3.52%)の賃上げで妥結している(30歳大卒の現行水準は30万511円)。

有効求人倍率が20年以上ぶりの高水準を記録し、人手不足に対する危機感が急速に高まるなか、賃上げの動きが拡がっている。