社会全体のために春闘機能の発揮を/連合の政策制度要求実現集会

(2015年3月13日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)は12日、2015春季生活闘争・政策制度要求実現3・12中央集会を後楽園ホール(東京・文京区)で開いた。最大のヤマ場となる集中回答日を18日に控え、古賀会長は「今こそ社会全体のために、春季生活闘争の機能を発揮していかねばならない」と強調し、月例賃金の引き上げに向けた交渉の強化を訴えた。

写真:連合の政策制度要求実現集会

連合は例年、春闘のヤマ場を前に中央集会を開いており、今年は初めて後楽園ホールを会場に選んだ。古賀会長は冒頭、「後楽園ホールはプロレスやボクシングの聖地といわれ名場面や名勝負を生み出したところで、その開館は1962年に遡る。当時は2年後に東京オリンピックの開会を控えて経済が大きく成長し、その6年後にはGNPが世界第2位になる高度経済成長のまっただ中。春季生活闘争は、欧米に追いつけ追い越せをスローガンに10%以上の賃上げを獲得するなど、分厚い中間層を形成しつつあった。今、取り巻く環境は大きく変化したが、春闘の持つ意義と役割はまったく変わっていない。今こそ社会全体のために、その機能を発揮していかねばならない」と強調した。

働く人への投資とマクロ視点での交渉の継続を

連合が2月27日10時締切でまとめた2015春季生活闘争の要求集計によると、4,504組合が要求を提出。このうち平均賃金方式で要求し、数字が把握できる賃上げを求めているのは2,074組合で、その額は1万877円(3.74%)となっている。

古賀会長はこうした状況に触れ、「すべて組合が揃ったわけではないが、闘争方針に沿った趣旨で闘争が進んでいる。一方で、交渉は極めて厳しい状況が続いており、経営側は私たちの要求に対して、極めて後ろ向きの態度を崩していない。われわれ自身が働いてきた役割と、大きなデフレを脱却して新しい経済サイクルを生み出していくマクロの意義を徹底して訴えていかねばならない」などと述べ、働く人への投資とマクロの視点での交渉の強化を呼びかけた。

労働時間短縮や労働法制改革への対応も

また、労働時間短縮に関しては、「年間100人以上が過労死でなくなっており、一掃していかねばならない。超少子高齢社会のなかで日本社会を持続可能なものにするためには、共助の役割がますます重要。介護、子育て、地域での暮らしや支え合いの役割分担を見直し、ワーク・ライフ・バランスが保障された社会に変えていかねばならない」などとして総実労働時間短縮の必要性を指摘。政策・制度要求については、「今の政府は、働く者の犠牲のうえに成長戦略を描く政策を推進している」と現政権の政策運営を批判したうえで、「労働者派遣法や、ホワイトカラー・エグゼンプションといわれる高度プロフェッショナル制度は、今国会で必ず提出され議論に入る。働く者、生活者の視線から政策を実施していく思いで、労働法制改革について毅然と政権と対峙していく」との姿勢を強調した。

集会では、共闘連絡会議代表者などが、現在の交渉状況の報告と決意表明を行い、最後に「『賃上げ』『時短』『政策・制度』の実現にこだわり、すべての働く者の『底上げ・底支え』『格差是正』に向けて全力を尽くす」などとする集会アピールを採択した。