日本サービス大賞を創設/首相が生産性運動60周年記念パーティーで表明

(2015年3月4日 調査・解析部)

[動向]

公益財団法人・日本生産性本部(会長:茂木友三郎)は2日、生産性運動60周年を記念するシンポジウム・パーティーを都内で開催した。パーティーの来賓で出席した安倍晋三首相は主要国に比べて低いとされているサービス産業の生産性を向上させるため、優れたサービスを提供する企業を対象に、内閣総理大臣賞を授与する「日本サービス大賞」を創設すると発表した。

安倍首相は来賓あいさつで、わが国のGDP・雇用の7割を担うのはサービス産業であるにもかかわらず、「日本のサービス産業の生産性は、製造業と比べても、また、諸外国と比べても、低い水準である。産業としてのポテンシャルを発揮しきれていないというのが実情ではないか」と問題提起。さらに、「サービス産業の生産性が伸び悩んでしまっていては、日本経済全体の底上げは困難。生産性向上の国民運動の新たな一章は、サービス産業にこそ向けるべきである」と強調した。

そのうえで、質の高いサービスを評価し、「リスペクトするための物差しを作っていかなければならない」と述べ、「質が高く、消費者にも支持されて、市場性も高いサービスを目指す、国民運動の先頭に私も立つ。内閣総理大臣賞として『日本サービス大賞』を、今年から創設する」と表明した。

同大賞については、サービス産業生産性協議会(事務局:日本生産性本部)が、今年7月から応募受付開始。サービス企業の経営者、学識経験者等の有識者から構成される日本サービス大賞委員会(委員長:野中郁次郎・一橋大学名誉教授)が、受け手の期待に対する達成度、サービスをつくりとどける構造、変化に応じて改善するプロセス、地域経済の活性化や雇用創出などの波及効果、サービスの独創性・革新性、サービス産業界の発展への寄与など、「優れたサービスをつくりとどけるしくみ」を基準に審査し、来年春に第1回の受賞者を表彰する予定だ。

なお、パーティーに先立って開かれた記念シンポジウムでは「2015年を見据えた生産性運動の進路」をテーマに、それぞれ生産性本部の副会長である小島順彦・三菱商事会長、相原康伸・自動車総連会長、大田弘子・政策研究大学院大学教授が、日本経済の成長に必要な人材育成の重要性などについてディスカッションした。

▽関連リンク