非正規が組み込まれた夜勤の実態が浮き彫りに/日本医労連・介護施設調査

(2015年2月25日 調査・解析部)

[労使]

病院や診療所、福祉施設などの職場で働く労働者・労働組合でつくる産業別組織の日本医療労働組合連合会(日本医労連、約17.5万人)は23日、「2014年介護施設夜勤実態調査」結果を発表した。それによると、人手不足が深刻な介護職場では、夜勤についても非正規職員に頼らざるを得ない状況となっており、非正規職員の割合がそもそも高いグループホームや小規模多機能施設等では6割超、正規職員の割合が比較的高い特別養護老人ホームや介護老人保健施設でも3割超で、非正規職員が夜勤に組み込まれている実態が浮き彫りになった。

9割近くが「2交替制」うち約7割は16時間以上勤務

調査は、日本医労連傘下の労働組合がある介護老人保健施設や特別養護老人ホーム、グループホーム、小規模多機能施設、複合型施設、短期入所施設を対象に、昨年6月時点の実績を尋ねたもの。同内容の調査は、昨年に続く2回目。今回は、夜勤における非正規職員の勤務実態や勤務シフトの状況、夜勤手当の水準など新たな項目を含め、118の回答施設における職員総数3,196人(介護職員が70.5%、看護職員が18.3%、事務などその他職員が11.2%)の勤務実態を明らかにしている。

それによると、回答施設における夜勤形態は9割近くが「2交替制」(当直との混合含む)で、「3交替制」(変則、当直との混合含む)は1割強にとどまった。また、2交替制夜勤を実施している施設の約7割が「勤務時間が16時間以上」となっており、昨年の調査結果(注1)と同様、「介護職場の圧倒的多数が長時間夜勤を強いられている」(米沢哲・中央執行委員)。

ひと月当たりの夜勤日数でみると、3交替制の施設はそのほとんどが「8日以内」(注2)に収まっているのに対し、2交替制では3割を超える職員が「月4回」を超えて夜勤をしている。米沢哲・中央執行委員は「長時間夜勤(2交替制)を改善していくには、時間規制だけでなく配置基準の引上げや増員が不可欠」と指摘する。

特養や老健では3分の1超、GHや小規模多機能では6~7割の施設が、非正規を夜勤に組み込み

今回の調査では、夜勤における非正規職員の勤務実態も明らかにしている。

人手不足が続く介護職場では、非正規職員の割合も高い。今回の調査で、正規職員:非正規職員の割合は全体では3:1ながら、グループホームでは非正規職員の割合が4割超、小規模多機能施設等でも5割超にのぼった。

こうした実態を踏まえ、夜勤に入ったことがある非正規職員の割合も、グループホームや小規模多機能施設等でより高い結果となっている。まず、非正規職員が夜勤に組み込まれている施設は、正規職員の割合が比較的高い特別養護老人ホーム(正規職員割合76.2%)では33.3%、介護老人保健施設(同83.2%)でも35.9%と3分の1を超えている。さらに、非正規職員の割合が高いグループホーム(非正規職員割合40.1%)では66.7%の施設、小規模多機能施設(同56.5%)では71.4%が、非正規職員を夜勤に組み込んでいる現状にある。

夜勤に入った職員数に占める非正規職員の割合をみると、特別養護老人ホームは7.1%、介護老人保健施設では5.4%といずれも限定的である。一方、グループホームでは25.4%、小規模多機能施設では34.1%にのぼっており、「夜勤専門の非正規職員もみられる」(米沢氏)という。

同日、開いた記者会見には、小規模多機能施設で働く介護労働者(組合員)も同席。「夜勤は単なる見回りと思われがちだが、実際には排泄介助や体位交換、徘徊者や昼夜逆転・不眠者のケアや熱発者への対応など、一時も気の休まらない過酷な労働を強いられている。蓄積疲労は3年程度で限界を迎え、職場は常に人手不足。使い捨てのような現状を何とか改善して欲しい」などと訴えた。

日本医労連では夜勤の改善や介護職員、看護師等の大幅増員などを掲げ、3月3日~4日にかけて中央行動を展開。国会議員への要請や対政府交渉を行うことにしている。