フード連合はベア2%(6,000円)以上で/賃上げの要求基準を決定

(2015年1月30日 調査・解析部)

[労使]

食品産業関連の労働組合でつくるフード連合(松谷和重会長、10万7,000人)は26日に都内で中央委員会を開き、月例賃金について定期昇給・賃金カーブ維持相当分を確保した上で、ベースアップ要求に取り組むとし、産別統一闘争の要求基準として、「2%(6,000円)以上」(ミニマム基準)などを掲げる2015春闘の方針を決めた。

「統一闘争要求項目」と「共通要求課題」を設定

フード連合の2015春闘闘争方針は、中長期視点に立った「危機感」を持ち、あらゆる「格差拡大」に歯止めをかけるために、すべての組合が月例賃金引き上げに取り組むことをめざすとしている。

具体的な取り組みについては、産別統一闘争の要求項目と共通課題として設定する要求項目からなる。統一闘争の要求項目で柱となる賃金の引き上げについては、① すべての組合は、月例賃金について定期昇給・賃金カーブ維持相当分を確保した上で、ベースアップ要求する、② 要求基準は、「実質賃金の確保」や「格差是正」、これまでの「賃金の復元」等を総合的に勘案し、「2%(6,000円)以上」(ミニマム基準)、③ 賃金ビジョンにおける「年齢別ミニマム基準」の確保を最優先とした上で、「到達水準」に満たない組合は、計画的かつ出来る限り早期に達成を目指すべく、更なる月例賃金引き上げに取り組む、④ 昇給ルールが確立されていない非正規労働者については、賃金ビジョンにおける「企業内最低賃金の目標水準」である「時間額880円」を確保するとともに、40円を目安に時給の引き上げを求めていく――ことを掲げた。

一方、共通要求課題としては、「一時金」「企業内最低賃金の協定化と水準の引き上げ」「総実労働時間の短縮」「非正規労働者の総合労働条件改善」を設定した。

一時金は、年間 6カ月以上を目標とし、最低目標を年間 4カ月においている。企業内最低賃金では、すべての組合が締結化を目指しつつ、全従業員または組合員を対象に「到達目標」として月額15万3,000円以上、時間額880円以上、「最低到達目標水準」として、時間額780円以上としている。

時短では所定内削減、労働時間の上限規制に力点

時短関係では、所定内労働時間について2008年から「時短2,000ゼロ」として取り組んできた新たな3カ年計画の最終の交渉チャンスになることから、「所定労働時間2,000時間以上の組合」における取り組みの強化のほか、長時間労働時間を規制するため、労働時間の上限規制(特別条項付き36協定)、インターバル規制に力点をおく。

さらに、非正規労働者の処遇改善では、雇用安定に関する重点項目として、①正社員への転換ルールの導入促進・明確化、②無期労働契約への転換促進――をあげた。

冒頭のあいさつで松谷会長は「政労使が賃上げの必要性を訴えていることなどを考えれば行うべき行動は一つ。昨日、今日の視点ではなく、一年、二年、さらにはこれからどういう社会にしていくのか。2015春闘は労働組合の社会性とその存在そのものが問われる位置づけにある」と訴えた。