月額2万円以上、時間額150円以上を統一要求額に/国民春闘共闘委員会

(2015年1月14日 調査・解析部)

[労使]

全労連などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事、小田川義和全労連議長)は1月13日、都内で第1回単産・地方代表者会議を開催し、月額2万円以上、時間額150円以上を統一賃上げ要求額とする2015年国民春闘方針を確認した。

春闘方針では、「物価上昇が顕著になっているもとで、賃金闘争で眼にみえる前進をつくりだし、実質賃金の低下に歯止めをかけ、すべての労働者と国民の暮らしを改善する」ことを第一義的な課題に掲げる。

あいさつに立った小田川代表幹事は、「すべての労働者の実質賃金維持の要求を前面に、その実現に徹底してこだわる」と強調。「中小未組織や最低賃金改定にも影響を及ぼす構えでたたかいをすすめ、賃上げの流れをつくりだしていこう」と呼びかけた。

実質賃金低下に歯止めをかけるには5%強の賃上げが必要

賃上げ要求については、春闘アンケートを基礎に、生計費原則に基づいた底上げ要求に加え、この間の物価上昇や消費税率の引き上げなどを加味した結果、「実質賃金の低下に歯止めをかけるには、定昇相当分の2%程度に現在の3%強の物価上昇分を加えて、少なくとも5%強の賃上げが必要」と判断。具体的には、月額2万円以上(≒物価上昇分9,725円+底上げ1万円)、時間額150円以上(≒物価上昇分33円+底上げ100円)として、14春闘(月額1万6千円以上、時間額120円以上)を上回る賃上げ要求額を提起した。

なお、要求額の算定には2013年毎月勤労統計年報の一般労働者の所定内賃金の平均額=30万3,912円、パートタイム労働者の所定内賃金の平均=9万997円、時間当たり1,032円を用いた。物価上昇と消費税率引き上げの影響については、2014年予想値3.2%でそれぞれ計算している。

非正規労働者の賃金の底上げも

非正規の賃金の底上げについては、最低生計費調査の結果(単身・20歳代半ばで月額23万円、世帯形成期である30歳代半ばで月額35万円)などを踏まえ、「時給1,000円未満の労働者をなくす」ことを重視してとりくむ。最賃要求は昨年同様、時間額1,000円以上、日額8,000円以上、月額17万円以上を掲げる。

そのほか、全国一律最低賃金制の確立などをめざす最賃闘争を再構築して、署名などの取り組みを推進するなど、地域間格差の是正に向けC・Dランクの底上げのとりくみを強化する。

良質な雇用と働くルールの確立を

賃金以外では、「良質な雇用と働くルールの確立をめざす」として、労働者派遣法改正案の再提出を許さない世論づくりを強めるとともに、労働時間法制の見直しを阻止する行動を中央・地方で強化する。

さらに、「ブラック企業」の具体的な実態告発、可視化のとりくみを強化するとともに、労働時間の上限規制や11時間以上の勤務間隔(インターバル)確保などの制度政策闘争を強化し、男性も女性も働き続ける労働条件の整備を求める。

集中回答日は3月11日

日程については、すべての組合が2月末までに要求提出やスト権確立を終えることとする。3月11日を集中回答日に設定し、翌日と翌々日(3月12日、13日)を最大の山場の統一行動と位置づけ、賃上げの社会的な流れをつくりだす構えだ。