経団連の榊原会長、日本銀行の黒田総裁も来賓出席/連合の新年交歓会

(2015年1月7日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)の新年交歓会が5日、都内のホテルで開かれた。2015春季労使交渉を直前に控え、挨拶した古賀会長は、月例賃金の安定的かつ継続的な引き上げの必要性を訴えた。来賓として、塩崎厚生労働大臣、榊原経団連会長、黒田日本銀行総裁らが出席した。

写真・連合新年会

「賃金の安定的・継続的な引き上げが必要」(古賀会長)

挨拶した古賀会長は、ヒト、モノ、カネなどが容易に国境を越える時代となったいま、「さまざまな課題を解決するためには、さまざまな国際機関、政府、企業、NPO、NGO、市民団体、あらゆる主体が、これからの信頼プロセスを醸成することが重要であるし、このなかで労働組合が果たす役割も大きいと自覚しなければならない」と指摘。「わが国も、成熟化、超少子高齢化、人口減少社会の進展、拡大する格差など大きな課題を抱えている。これらの課題を解決するためには、一部の上位の層だけでなく、社会の裾野に光を当てる政策が重要だ」と強調した。

直前に控えた2015春季労使交渉については、「今年は春闘がいまのスタイルとなって、60年目を迎える。この間、労使は各局面におけるさまざまな課題を、粘り強く真摯に交渉・協議し、課題を解決し、社会の安定と発展に寄与してきた。いまの大きな課題はデフレ脱却と新たな経済の好循環だ。そのためには月例賃金の安定的かつ継続的な引き上げが必要であり、社会全体の底上げ、底支え、格差是正が不可欠だ」と主張。「2015春季生活闘争で、連合は、非正規、中小で働く仲間も含め、賃上げ、時間短縮、政策制度要求の実現に向けて全力をあげて推進していく」と述べた。

また、労働法制の見直しについては、「政策制度面では、労働者保護ルール改悪の動きがさまざまな形で起こってくると思う。働くものの雇用と命を守り、次の時代に禍根を残さない運動を強力に展開していきたい」と強調した。

「労働生産性を上げていくための提案をしていく」(塩崎厚労相)

来賓として挨拶した塩崎恭久厚生労働大臣は、12月に合意文書をまとめた政労使会議について触れ、「われわれはともに重たい責任を負った」とし、厚生労働省として労働生産性を上げていくための具体的な提案をしていきたいと表明。「とくに長時間労働をなくしながら、ワン・アワーあたりの生産をどう上げていくのかについて考え直さなければいけない。一方、雇用機会も同時につくっていかなければ、経済は回っていかない。いままではなかった提案を省内で調整していきたい」と述べた。一方、労働政策については、「しっかりと労使のみなさまの意見をしっかりとうかがって進めることが、厚生労働省の大原則であることを念頭に、あらためて再確認する」などと述べた。

「企業収益を拡大させ、設備投資、雇用拡大、賃上げにつなげる」(榊原経団連会長)

経団連からは、連合結成以来初めて榊原定征会長が出席し、挨拶。榊原会長は「日本経済は着実に回復しているが、GDPの6割を占めている個人消費は、昨年4月の消費増税の影響もあり、いまだ、力強さを欠く状況が続いている。それとともに急激な円安の進行による負の影響もみられる。いままさにデフレ脱却、経済再生にむけての正念場であり、政官民で力をあわせて、すべての政策を総動員することがきわめて重要だ」と強調。「昨年12月に政労使会議が開かれ、デフレ脱却、経済再生にむけての政労使の合意事項をとりまとめた。それぞれの立場でこの合意事項をしっかりと実施していくことが大事だ」とし、「経済界としても積極経営を通じて、企業収益を拡大させ、その収益を設備投資、雇用の拡大につなげていく。そして、賃金の引き上げにつなげる。このための最大限の努力をしたい」と述べた。

このほかでは民主党の枝野幸男幹事長が挨拶した。日本銀行の黒田東彦総裁は、総裁として初めての来賓出席となったが、挨拶はしなかった。

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