政策制度活動強化や化学・エネルギー労組の結集をめざす方針を確認/JEC連合大会

(2014年7月30日 調査・解析部)

[労使]

化学・エネルギー関連産業を組織するJEC連合(約16万人、永芳栄始会長)は7月24、25の両日、神奈川県横浜市で第13回定期大会を開き、今春の賃上げ交渉の取りまとめとともに、政策制度活動の強化や化学・エネルギー労組の結集などを柱とした2015年度運動方針を決めた。役員選挙では、永芳栄始会長、黒田正和事務局長を再任した。

労働者保護の後退や格差拡大の動きに反対の声を(永芳会長)

あいさつした永芳会長は、今春の賃上げ交渉にふれ、「『底上げ』『底支え』『格差是正』を合言葉に、6年ぶりの賃上げ春闘となった。『官制ベア』と揶揄する報道もあるが、成果は成果、交渉に臨み賃上げを勝ち取ったのは我々。胸をはっていい」と評価した。

また経済状況にふれて、「国内市場は人口減少で縮小し、海外市場は円安による原材料費の高騰とエネルギー高による電気料金の値上げによって競争力は削がれ、貿易赤字がいっそう広がる悪循環に陥っている」と分析。「成長戦略により、景気の好循環、実態経済の回復ははたして起こっているのか。JEC連合に集う産業にとどまらず、製造業、日本経済をとりまく根源的課題はなにも解決していない」と指摘した。

さらに、政府の成長戦略について、「成長戦略といいながら中身は労働者の使い捨て、かつて国民からNOと言われたホワイトカラーイグゼンプションの焼き直しで、日本がよくなるはずがない」と批判し、「働く者の犠牲の上に成長戦略を描くことなど許されない。労働者保護を後退させ、格差社会を拡大させるこうした動きに、断固反対の声を上げよう」と訴えた。

賃上げ額6,405円(1.98%)、一時金は5.16カ月に

今春の賃上げ交渉の回答状況(6月4日現在)では、要求提出213組合のうち199組合が回答を引き出しており、71組合が賃上げ・ベースアップを獲得。定期昇給分を含めた加重平均で6,405円(1.98%)、賃上げ・ベースアップは加重平均で1,347円となっている。賃上げ・ベースアップを獲得した組合は昨年の11組合と比べて大幅に増加した。年間一時金については、加重平均で163万7,794円(5.16カ月)となり、昨年を0.27カ月上回った。まとめでは、回答状況について、「ベースアップ要求が可能な組合は、ほぼベースアップ要求で足並みを揃えることができた。ベースアップの獲得も連合と同様、もしくは上回る結果となった」と評価する一方、「13年度の消費者物価上昇率をクリアしていない。過年度物価上昇率を要求根拠としているため、賃金が物価の後追いとなっている。さらなる物価上昇が予測される来春闘に向け大きな課題だ」と問題提起している。

化学・エネルギー労組との情報交換の拡充を

2015年度運動方針の柱は、産業政策を中心とした政策制度活動の強化や、中期的な組織ビジョンにもとづく産別機能強化と化学・エネルギー労組の結集など。政策制度活動では、産業・社会政策強化のため、労組だけでなく内外の関係諸団体とのネットワーク構築を進めるとともに、友好関係にある国会議員で構成する「JEC連合政策フォーラム」の活動を拡充する考えで、業種別部会や地連との連携も図りながら協力関係を深めるとしている。

化学・エネルギー労組の結集については、政策提言能力を強めることで求心力を高め、主体的に関連産別とのネットワーク作りに取り組むとしている。国際産業別組織の日本組織であるインダストリオールJAF(インダストリオール日本化学エネルギー労協)の枠組みの中で、共通の取り組みが可能な事項について連携できるように働きかけるとともに、ゴム連合、紙パ連合、セラミックス連合、JEC連合で行っている4産別情報交換会や、化学総連との連携を拡充する考えで、より深い情報交換を進め、共同での産業政策要請活動を進めるとしている。

質疑では、「地域・中小運動への支援強化を。地連レベルでも研修の機会が欲しい」(琉石ネットワーク)などの意見が出た。