2014年春闘方針構想を確認/国民春闘共闘委員会

(2013年10月30日 調査・解析部)

[労使]

全労連などでつくる国民春闘共闘委員会(代表幹事、大黒作治全労連議長)は10月25日、都内で年次総会を開催し、2014年春闘方針構想を確認した。ベア要求を前面に打ち出し、大幅賃上げをめざすのが特徴。来月下旬の国民春闘討論集会で議論を深め、年明けにも「2014年国民春闘方針」を正式決定する。

来春闘に向けた構想案では、 (1) ベア要求と非正規労働者も含む職場のすべての労働者の賃金の大幅引き上げ要求を積極的に掲げ、 (2) 地域段階では最低賃金時給1,000円の実現と公契約条例制定運動を軸に「すべての労働者の賃金引き上げで内需拡大」の運動をさらに強め、 (3) 公務員労働者の賃下げ措置の撤回など逆流の政策撤回を政府に迫り、 (4) 消費税増税中止、社会保障改悪阻止、労働法制改悪阻止、TPP参加反対、原発再稼動阻止を中心的な課題に「許すなくらし破壊」の共同のたたかいを作り出すこと――の4点を掲げ、ベア要求を前面に打ち出し、大幅賃上げを求めているのが特徴。国民春闘共闘に結集するすべての組合が「ベア獲得」にこだわるたたかいに向け議論を深めるよう求めた。

柱となる賃上げについては、これまでの底上げ要求(「誰でも月1万円以上、時給100円以上」)と最低賃金要求(月16万円以上など)の2本柱を基本に、消費税増税やデフレ不況克服など2014春闘の特異性に留意した統一要求目標の検討を呼び掛けた。具体例として、「誰でも月額1万円+α(消費税分2%)」をあげ、プラスαの部分には、消費税分を2%と試算して盛り込むことも検討している。数字にするか言葉にするかは今後の議論によるが、方針案を提起した小田川義和事務局長は、「従来、あまりこうした議論はしたことがないが、一定の数字を掲げるなど、従来とは違う要求額を掲げる」との見通しを示した。

来春闘を取り巻く環境については、賃上げが経済政策の中心課題となり、財界も一定の対応姿勢を示しはじめるなか、「賃上げこそ最大の景気対策」の世論を最大限利用しながら、職場と地域の双方で大幅賃上げの「風」を吹かし、成果につなげることが重要と強調。攻勢的な構えで要求を確立し、「(職場から)足を出す運動」で世論を高め成果につなげていくとしている。

賃上げ以外では、労働法制の見直しについて、6年前の「残業代ゼロ法案」は世論の力で成立しなかったことを引き合いに、あいさつに立った大黒作治代表幹事は、「限定正社員制度」や労働者派遣法の改悪を許さない共同の動きを大きく広げたいとして、連合など他のナショナルセンターへの共同を呼び掛けた。

今後、11月27日、28日に熱海で開かれる国民春闘討論集会で議論を深め、幹事会で意見集約の上、年明けに正式決定される。