「派遣労働者保護」と「常用代替の防止」の堅持/連合が制度見直しで考え方示す

(2013年9月13日 調査・解析部)

[労使]

連合(古賀伸明会長)は12日の中央執行委員会で、見直しの議論が労働政策審議会労働力需給制度部会で始まった労働者派遣制度について、基本的な考え方を確認した。制度設立の趣旨と実態の乖離また派遣労働者が置かれている厳しい状況を踏まえ、「常用代替防止」と「派遣労働者の保護」の双方の観点を前提に見直しを求めるとしている。

研究会報告を議論のたたき台とすることは問題

連合は8月20日に発表された厚労省の「今後の労働者派遣法の在り方に関する研究会」の報告書に対して、「個々の提案内容には問題点が多いと言わざるを得ない」とし、労働政策審議会における「議論のたたき台とすることは問題がある」などと主張する南雲事務局長の談話を発表。連合としては、2012年の労働者派遣法改正によって進められた、派遣労働者保護の流れをさらに強化し、「常用代替防止」と「派遣労働者の保護」の双方の観点に立脚した見直しを審議会で求めるとしている。

そのうえで、中央執行委員会で確認した研究会報告書の主な論点に関する見解では、①派遣元との雇用契約(有期雇用・無期雇用)に応じた派遣期間のあり方、②派遣先レベルでの3年超の派遣受け入れにかかる「派遣先の労使チェック」についての問題点を指摘している(注)

報告書では、期間制限の対象者を派遣元との有期雇用者に限定するとしているが(無期雇用者は制限の対象としない)、連合見解では「派遣期間制限は、わが国の労使関係の特長である長期雇用慣行に照らして労働者派遣法の基礎とされている『常用代替の防止』をはかる観点から講じられるものであり、今後もすべての派遣労働に当てはまるものとして堅持すべきであって、期間制限のない常態的な間接雇用法制をわが国に持ち込むべきではない」としている。

また報告書では、有期雇用派遣である場合の期間制限について個人ごとの上限を3年にするとともに、派遣先での3年超の受け入れについては労使のチェックを条件として可能とすることを提案している。これについて連合見解は、ドイツの事業所委員会制度が参考事例として念頭に置かれているとしたうえで、「わが国の集団的労使関係法制での枠組みとして、現在、労働組合、過半数代表者、労使委員会が存在する中で、その新たな本提案にかかわる制度設計に当たっては、労働者派遣制度のあり方を検討する労働政策審議会労働力需給制度部会が検討の場としてふさわしいのか、大いに疑問がある」と指摘。さらに、今年末を目途に建議が取りまとめられる予定であることについても、検討時間が限られていることから、「今回の同部会において本提案について結論を出すことは困難といわざるを得ない」としている。