JCM議長の要請も念頭に、賃金改善に向け検討/自動車総連の定期大会

(2013年9月11日 調査・解析部)

[労使]

自動車総連(相原康伸会長、約76万人)は5、6の両日、宮城県仙台市で定期大会を開催した。挨拶した相原会長は、現在の経済情勢について「総じて日本経済はデフレ脱却の兆しが表れつつあり、物価の緩やかな上昇と景気回復の連動性が求められる局面」との認識を示したうえで、2014春闘での賃金の取り組みについて、すべての加盟産別に対して積極的な賃金改善の検討を求めた西原浩一郎・金属労協(JCM)議長の要請(注)も念頭において方針を検討していくと述べた。

相原会長は挨拶で、現在の経済情勢について、2013年4~6月期の国内総生産の速報値が年率換算で前期比2.6%増となり、3四半期連続のプラス成長となったことなどに触れたうえで、「総じて日本経済はデフレ脱却の兆しが表れつつあり、物価の緩やかな上昇と景気回復の連動性が求められる局面と認識する」と述べた。一方、自動車総連としての春闘での要求組み立てについて、「長期のデフレ経済下、要求の組み立て自体は各労組独自の賃金課題に照らしたものに余儀なくされてきた面は否めないが、近年、業種や規模を問わず、主体性ある要求を掲げ獲得する運動が徐々に定着し、賃金水準の底上げ機能を果たしてきた意義は大きく、引き続き、賃金改善のエネルギーを基に、運動を充実させていく必要がある」と強調した。

そのうえで、2014春闘について、「要求の検討にあたっては、検討の基礎となる各種指標や中長期的な経営基盤の強化に資する労働の質の向上、培ってきた底上げ機能の重要性を踏まえ、デフレ脱却と付加価値の再配分に向けた労働運動の視点などを加味」するとしたうえで、「JCMの西原議長の要請も念頭に、(傘下の全トヨタ労連、日産労連など)12労連、各業種別部会と十分連携を図りながら、全体として整合ある自動車総連の賃金引き上げの方針検討を進めたい」と述べ、配分などの要素も重要視しながら西原議長の要請を意識して要求方針を検討していく姿勢を明らかにした。

適正な配分を根拠に要求組み立て

5日、大会に先立ち開催された記者会見で、相原会長は、「金属労協の定期大会で西原議長からの要請があったが、議長の要請や産業実態、経済の様相などを含めて、早めに、前向きに検討に着手したい」と述べた。また、アベノミクス効果によって株価は上がり、超円高は是正され、企業収益が回復してきているなかで、デフレ脱却できるかどうかは「ここからが正念場だ」とし、そのためにも「労働者サイドとして、配分を求めていいという認識に立ちたい」と述べて、労働側への適正な配分を根拠に積極的な要求を組み立てていく姿勢をあらためて強調した。

なお、消費税の引き上げが予定されていることの要求策定への影響について、相原会長は「目には入ってきても、先取りすることはないのではないか」と説明し、過年度物価を基本として検討していく姿勢に変わりがないことを示した。

大会では、この1年間の活動実績や、2013年総合生活改善の取り組み総括などが報告された。2013年総合生活改善の取り組み総括では、賃金引き上げを要求した組合が最終的に989組合で、そのうち改善分を要求したのが575組合。昨年を65組織上回る196組合が改善分を獲得したことが明らかにされた。

さきの参議院議員選挙では、組織内擁立候補だったいそざき哲史氏(比例)が連合の組織内候補のなかで最多の票を獲得して当選した。選挙活動についての最終的な評価・総括は、来年1月に開催する中央委員会で報告するとした。

^本メールマガジン2013年9月4日付(第942号)における金属労協定期大会記事を参照のこと。