現場を原点に社会的な対話を/日教組の定期大会

(2013年8月28日 調査・解析部)

[労使]

日教組(加藤良輔委員長、26.6万人)は25~27日、神奈川県内で定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を決めた。冒頭のあいさつで加藤委員長は「現場の実践が運動の原点である」とし、これを踏まえて、保護者・地域社会などとの社会的な対話を深化させることが重要だと強調した。新しい運動方針では政治活動について、これまで「民主党を基軸に社民党との支持協力関係」を図るとしていたが、具体的な政党名を明記しなかった。

運動方針の柱は「憲法・子どもの権利条約の理念を実現しよう」

13~14年度の運動方針では、冒頭に「憲法・子どもの権利条約を生かした教育改革の取り組み」をおいた。憲法や条約を具現化し、「子どもの人権や豊かな学びが保障される『教育福祉(Edufare)』社会をめざすため、保護者・市民等との社会的対話をすすめる」としている。加藤委員長はあいさつで「現場の実践が運動の原点である以上、『対話=社会的対話』を基本的な運動の柱としていく必要がある」と主張。そのうえで、「子どもたちがおかれた現実を直視し、保護者・地域社会とともに練り上げた教育論と教育実践を、支部・都道府県段階、中央段階へと社会的対話の深化という手法とともに国民のものとして創り上げていくことが大事で、そのことが安倍政権の『教育再生』に対するもっとも有効な対抗手段だ」などと述べた。

民主的でリベラルな政治勢力との支持協力関係を構築

また加藤委員長は7月の参院選の結果に触れ、「私たちが連携をとってきた民主・リベラル勢力には自民党の対抗軸としての国民的支持が集まらなかった。それどころか民主党にいたっては『民主党NO!』という嵐のようなバッシングに打ちのめされた」と総括。こうした情勢を踏まえ、「民主主義、憲法の危機」に対しては、「教育を中心とした社会的対話を通し、教育の課題を解決する道筋のなかで強く訴えていきたい」と述べた。

13~14年度の運動方針では「日教組の諸要求を実現する政治活動を強化する取り組みとして」、 (1) 勤労者や市民を代表し、民主的でリベラルな立場を基本とする政策実現可能な政治勢力と支持協力関係を構築する、 (2) 諸要求実現のため広く社会的対話を促進するとともに、日教組運動を理解する政党・議員と幅広い政策協議をすすめる、 (3) 教育政策や諸課題に関する認識を共有し、政策実現にむけて議論する議員懇談会の構築につとめる――などをあげた。

11~12年度の運動方針では、「勤労者や市民を代表する民主的でリベラルな政治勢力の総結集をめざし、とりくみを強化する。民主党を基軸に社民党との支持協力関係をはかる」「民主党『教育政策議員懇談会』と連携し、教育政策や課題について共通認識や論議を深める」――などの内容となっていたものを変更した形となっている。