延べ労働移動率が3年ぶりに上昇/厚労省「雇用動向調査」

 

(2013年8月9日 調査・解析部)

[統計]

厚生労働省は8日、2012年の「雇用動向調査」結果を公表した。入職率が前年より0.6ポイント増加の14.8%、離職率は同0.4ポイント増加の14.8%となり、延べ労働移動率は1.0ポイント増加の29.6%と3年ぶりに上昇した。結果を受け、同省では「景気の改善に伴い、より良い労働条件を求めて離職・入職者が増えているのではないか」とみている。

事業所側の理由による離職が減少し、個人的理由が増加

調査対象は、16大産業で5人以上の常用労働者を雇用する1万4,410事業所(平均有効回答率67.5%)と、同事業所における入職者8万8,239人、離職者9万5,946人。

入職率を、入職前1年間に就業経験があるかどうか別にみると、「転職入職率」(あり)が9.1%に対し、「未就業入職率」(なし)が5.7%となっている。

一方、離職率を離職の理由別にみると、「個人的理由」(結婚、出産・育児、介護を含む)が10.3%で、前年より0.5ポイント上昇。これに対し、経営上の都合など「事業所側の理由」(出向・出向元への復帰を含む)は1.0%で、前年より0.2ポイント低下した。このほか、「契約期間の満了」が0.1ポイント増の2.3%、「定年」が横ばいの0.8%などとなっている。

前職を辞めた理由:「会社都合」は減少し「労働条件が悪い」が増加

転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男性では「その他の理由」(出向等含む)の30.4%(前年同率)以外では、「定年・契約期間の満了」が16.4%(同17.5%)でもっとも多く、次いで「労働条件が悪い」が10.2%(同7.5%)、「会社の将来が不安」が9.0%(同8.0%)、「収入が少ない」と「会社都合」は同率で8.3%(前年はそれぞれ8.5%、10.3%)――などとなっている。

また、女性でも、「その他の理由」の26.7%(前年30.2%)以外では、「定年・契約期間の満了」が15.2%(同15.3%)でもっとも多く、次いで「労働条件が悪い」が15.1%(同12.8%)、「収入が少ない」が7.5%(同6.2%)、「職場の人間関係」が7.1%(同7.2%)、「会社都合」が7.0%(同8.9%)――などとなっている。

一方、転職入職者について、賃金が「前職」に比べて「増加」した人は32.3%で、前年より3.8ポイント上昇した。「減少」は同1.6ポイント低下の30.4%だった。

結果を受け同省では、「男女とも前職を『会社都合』で辞めた人の割合が前年より低下する(男性で2.0ポイント減、女性で1.9ポイント減)一方、『労働条件が悪い』ことをあげる割合が上昇する(同順にそれぞれ2.7ポイント増、2.3ポイント増)などしており、景気の改善に伴い、より良い労働条件を求めて離職・入職者が増えているのではないか」などとみている。