野田委員長、高橋事務局長ら新執行部体制を決定/NTT労組定期大会

(2013年8月7日 調査・解析部)

[労使]

NTT東西やドコモ、データなどNTTグループ企業の労組で構成する、NTT労働組合(約17.8万人)は7月30~31日、神奈川県・横浜市で定期大会を開き、向こう2年間の運動方針を決定した。また、2008年から委員長を務めた加藤友康氏らが退任し、委員長に野田三七生氏、事務局長に高橋政士氏ら新執行部を選出した。野田新委員長は、「全電通発足から64年目、NTT労組発足からは15年目。受け継いだ多くの財産を誇りに思い、新たな時代に即した運動を積み上げていく」などと述べた。

「事業の発展と雇用の安定、グローバル人材を含む育成・確保等に取り組まなければならない」(加藤委員長)

冒頭のあいさつで加藤友康委員長は、NTTが昨秋、公表したグループの中期経営戦略「新たなステージを目指して」に触れ、「重要なのは今後の具現化だ。2014年を目途に『NTTのあり方』を含む競争ルール全体を見直すとの経緯もある中、規制との対峙やグループミッションのあり方を含め、事業構造の展開と新たな事業創出・展開を巻き込んだ対応策を、機動的に講じていかなければならず、これらの動向を注視しつつ、自らが事業の健全な発展と雇用の安定、グローバル人材を含めた育成・確保と、諸労働環境の整備に取り組んでいかなければならない」などと強調した。

大会では、2013~14年度の中期運動方針として、(1) 東日本大震災からの復興・再生に向けた取り組みの継続・強化 (2) 総務省の「公正競争レビュー制度」における包括的検証への対応と、「新たなステージを目指して」の具現化に向けた取り組みの強化 (3) NTTグループに働く「すべての仲間」の結集や、「組織強化検討プロジェクト『最終答申』」の着実な実践、具体的運動の積み上げによる組織強化 (4) 組合員のライフステージに資する相互扶助機能としての福祉活動の充実・強化――を重点に据えることなどを決定した。

特別手当制度や企業年金制度の見直しが当面する重要課題に

方針の中では、会社側から、役割やパフォーマンスの発揮度をより反映する仕組みとするため、エキスパート資格グループの「定率部分」を、資格等級別に設定する「資格等級別定額」へ見直すことが提案されている、年間一時金に当たる「特別手当制度の見直し」について、「会社業績や個人業績の反映のみならず、年功的要素や組合員・社員の生活への影響等を充分に勘案する必要がある」(野田氏、以下同)ことから、「本定期大会以降、労使間論議を再開する」とともに、「秋年開催予定の『企業本部・総支部三役会議』で対処方針を確認する」こととした。

また、「規約型企業年金制度」を「確定拠出企業年金制度」へ移行することが提案されている「NTTグループ企業年金制度の見直し」に関しては、併行して課題となっている、NTT企業年金基金の「予定利率(5.5%)と期待運用収益率(2.5%)の乖離」の解消を一体的課題と捉え、大会以降、会社対応を強めることとした。

このほか、電話帳関連サービス労協を構成する「電話帳労組」「クオリス労組」「ロジスコサービス労組」が、今夏の各大会でNTT労組への統合を決定する見通しであることなどを踏まえ、NTT労組と同三労組の間に速やかに「統合協議会」を立ち上げ、来夏の統合を目指した論議・検討を進めていく方針なども盛り込んだ。

企業本部体制を8から6に再編

大会では、一般経過報告として、ファシリティーズ本部、コムウェア本部、持株本部を統合し、次年度以降は新たに「持株グループ本部」として、旧8企業本部体制から新6企業本部体制に再編することなどを確認した。

また、本年4月に会社提案のあった、(1) 海外勤務給及び国内給・留守宅手当の見直し (2) ハードシップ手当の仕組みの見直し (3) 住宅及び教育に関する費用負担の見直し (4) 生活及び健康管理面のサポートの充実――を中心とする「海外勤務制度の見直し」については、「海外勤務者やアジアを中心とする新興国への赴任が増加している実態等を踏まえれば、グループとしての処遇の見直しは必要」(中央本部)との認識に立って労使間整理を図り、10月1日からの制度移行に漕ぎ着けた経緯なども説明された。

NTTグループはこの間、Dimension DataやKeaneの買収、「NTT I」の設立など急速に、グローバル展開を加速してきている。