組織拡大に向け「新中期計画」の実践を/全労連第49回評議員会

(2013年8月2日 調査・解析部)

[労使]

全労連(大黒作治議長、約83万人)は7月31日と8月1日の両日、都内で第49回評議員会(大会に次ぐ決議機関)を開き、昨年夏の大会で決定した向こう2年間の運動方針の取り組みを補強した。今後1年間の取り組みの柱として、「安全・安心社会をめざす大運動」の具体化と組織拡大に向けた「新中期計画」の実践をかかげ、組織拡大については、取り組みのテンポをあげることを確認した。

労働法制改悪・社会保障解体の反対運動を強化

全労連は昨夏の第26回大会で、向こう2年間の運動方針として、 (1) 「安全・安心社会をめざす大運動」(全労連大運動)の取り組み (2) 組織拡大に向け「新中期計画」の実践 (3) 憲法擁護、安保破棄運動の再強化――の3本柱を確認した。

折り返し地点となる今夏の評議員会では、この1年の運動の取り組みを振り返りながら、次の1年間の補強方針を確認した。

「安全・安心社会をめざす大運動」については、雇用破壊の労働法制改悪反対と社会保障解体反対のたたかいの強化を最重視することを確認した。

労働法制改悪反対のたたかいでは、憲法を暮らしと職場にいかす取り組みを政府、国会、諸団体要請、署名、宣伝行動などを軸に運動の具体化をすすめる。さらに、秋闘の最大の取り組みでもある「かがやけ憲法・全労連全国縦断キャラバン(仮称)」の中心課題にも据える。このほか、「労働相談110番」を活用した労働者の働く状態の「可視化」、ハローワーク前におけるアンケートの一斉実施、ブラック企業対策などにも取り組む。

社会保障改悪反対のたたかいでは、医療、介護、保育、年金など全面的な社会保障を解体する動きであることを踏まえた国民共同の追求に力を注ぐ。「社会保障充実のためにも雇用の安定と適正な使用者負担を」「社会保障拡充、最低生活保障は国の責任」の世論喚起をめざし、キャンペーンを強化する。組織拡大の取り組みともあわせ、医療、介護の制度改善、従事する労働者の処遇改善要求の具体化をすすめる。

「150万全労連」の実現に向け実践を

組織拡大については、「新中期計画」の実践を求めた。「新中期計画」は、昨夏の大会で確認されたもの。「150万全労連」をかかげ、2012年度から向こう4年間で、すべての単産・地方組織に10%以上の純増を求めるもの。組織拡大については、この1年で純増したのは日本医労連や年金者組合など一部の単産などに限られ、団塊の世代の引退時期とも重なり、2万4,000人程が組合を離れており、組織の減少傾向には依然として歯止めがかかっていない。

こうした現状を踏まえ、社会的影響力のある組織づくりへの挑戦を継続するとしている。「新中期計画」の取り組みのテンポをあげるとともに、アベノミクスの恩恵が届きにくい地方での組織強化、拡大の運動を強めることを求めた。秋には「地域の運動と組織の強化をめざす全国交流会(仮称)」を開催する予定で、未組織労働者との総対話運動に取り組み、次世代を担う組合活動家を育成するため、教育体系の整備にも力を注ぐ。

討議では、「全労連は介護分野の具体的な運動方針を示してほしい」(長野県労連)、「社会保障分野の運動が弱い。社会保障闘争を強めてほしい」(福祉保育労)など運動方針について意見が出された。組織拡大については、「この4年は純増に成功している」(長野県労連)、「12年ぶりに純増に転じた」(愛労連)などの動向が報告される一方、「地域の足腰が弱くなっている。役員は組織だけでなく、地域の運動にも目を向ける必要がある」(岡山県労会)との声もあがった。