中央最低賃金審議会で地域別最賃の目安審議はじまる/厚労省

(2013年7月3日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省は2日、中央最低賃金審議会(厚労相の諮問機関)を開き、田村憲久厚労相が2013年度の地域別最低賃金額改定の目安について諮問した。続けて開かれた目安小委員会で労使代表らが最低賃金の改定に向けた協議をはじめた。

厚生労働大臣は毎年、中央最低賃金審議会に対し、「地域別最低賃金額改定の目安」を諮問する。2013年度については、「現下の最低賃金を取り巻く状況を踏まえ、経済財政運営と改革の基本方針(2013年6月14日閣議決定)及び日本再興戦略(同日閣議決定)に配意した調査審議を求める」ことが明記された。

あいさつに立った田村厚労相は、これまでの日本経済について、「少子高齢化とあいまり、企業は設備投資や研究開発費を手控え、将来不安から消費も減り、デフレに陥る停滞の20年だった」と振り返った。続けて、「(政府の成長戦略では)今後10年間で名目3%、実質2%の成長をかかげる。物価の上昇が予測されるなか、家計の所得が増加しなければ、景気回復の原動力となる消費の拡大は息切れし、景気が腰折れすることになりかねない」と懸念を表明。閣議決定した日本再興戦略を紹介しながら、「今後2%の物価上昇が予測されるが、それを上回る賃金上昇が必要となる。すべての所得層で賃金上昇と企業収益の好循環を実現できるよう、最低賃金の引き上げに努める」ことを求めた。その一方、最賃引き上げに伴う中小企業への負担増にも配慮を滲ませ、「中小支援を深める必要がある」ことにも言及した。

今後は、1カ月近くかけて引上げ額を議論し、7月下旬から8月上旬にも目安を答申する見通しだ。最低賃金は現在、全国平均で749円。生活保護費が最賃を上回る逆転減少は解消しつつあるが、昨年時点で、北海道、宮城、東京、神奈川、大阪、広島の6つの都道県では逆転現象が続いている。

なお、諮問に先立ち、会長に仁田道夫(国士舘大学経営学部教授)、会長代理に藤村博之(法政大学大学院イノベーション・マネジメント研究科教授)を選出。労働者側委員に冨田珠代(全日本自動車産業労働組合連合会中央執行委員)と松田康子(情報産業労働組合連合会政策局中央執行委員)、使用者側委員に渡辺元(渡辺パイプ株式会社代表取締役社長)が就任。目安小委員会の会長は仁田道夫(中央最賃審議会会長)が兼務することになった。

第38回中央最低賃金審議会資料新しいウィンドウを開きます(厚生労働省)
目安小委員会資料(主要統計資料)PDF新しいウィンドウを開きます(厚生労働省)