精神障害の労災認定件数が過去最多に/厚労省まとめ

(2013年6月26日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省は21日、平成24年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」を公表した。それによると、脳・心臓疾患の労災認定件数は前年度比28件増の338件で2年続けて増加。精神障害の労災認定件数は前年度より150件多い475件で過去最多となった。うち、未遂を含めて自殺と認定された件数は93件にのぼった。

厚労省では平成14年から、過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発病した精神障害の状況について毎年、取りまとめをしている。

今回の集計では、脳・心臓疾患に関する労災補償状況は、請求件数は前年度より56件少ない842件となり、3年ぶりに減少した。そのうち、「業務上」と認定された支給決定件数は338件(前年度比28件増)で2年連続の増加となった。業種別に請求件数をみると、「運輸業、郵便業」(178件)、「卸売業、小売業」(127件)、「建設業」(123件)の順になる。一方、支給決定件数は、「運輸業、郵便業」(91件)、「卸売業、小売業」(49件)、「製造業」(42件)が並ぶ。

一方、精神障害に関する労災補償状況は、請求件数は1,257件と、前年度より15件減少したものの、依然として高水準で推移している。そのうち支給決定件数は前年度より150件増えて475件にのぼり、過去最多を更新した。このうち、未遂も含めて自殺と認定された件数は前年度比27件増の93件にのぼり、こちらも過去最多となった。厚労省では、2011年12月に認定基準を見直した。新基準では、残業時間の目安に加え、発症のきっかけとなる具体例を明示している。基準の明確化に伴い、審査期間は8.2カ月と前年度(8.5カ月)より短縮。認定率も39.0%と前年度(30.3%)を大きく上回り、認定件数の増加につながったもようだ。

業種別に支給決定件数をみると、もっとも多いのが「社会保険・社会福祉・介護事業」(33件)で、以下、「道路貨物運送業」(32件)、「情報サービス業」(25件)が続く。引き金となった出来事や原因では、もっとも多いのが「仕事内容、量の変化」で59件。そのほか、「嫌がらせ、いじめ」(55件)、「上司とのトラブル」(35件)、「セクハラ」(24件)など職場の人間関係に起因するものが目立っている。

平成24年度「脳・心臓疾患と精神障害の労災補償状況」まとめ新しいウィンドウを開きます(厚生労働省)