昨年の2倍の組合で賃金改善分を獲得/金属労協の中堅・中小回答状況

(2013年3月27日 調査・解析部)

[労使]

自動車総連、電機連合、JAM、基幹労連、全電線の金属関連の5産別でつくる金属労協(JCM、西原浩一郎議長)は26日、本部(都内)で記者会見を開き、今春闘における中堅・中小登録組合の回答状況を発表した。賃金では、同日までに要求提出した155組合のうち、44組合が賃金改善分を要求し、回答をすでに引き出した107組合のうち24組合が改善分を獲得。獲得組合数はすでに、昨年の最終実績の2倍に達している。

金属労協では、例年、大手組合の回答が集中するヤマ場を3月中旬に設定するとともに、各産業・業種や地域に影響を与える中堅・中小組合を抽出し、これらの組合の回答状況を集約、公表することで、交渉継続中の中小労組の早期回答引き出しと好結果の相場波及を図っている。金属労協全体では、加盟組合は3,279組合ある。そのうち、中堅・中小登録組合となっているのは162組合。26日までの集計をみると、要求提出したのは155組合で、そのうち賃金改善分を要求した組合は44組合となっている。

すでに回答を受けた組合は107組合。すべての組合で賃金構造維持分を確保しており、このうち24組合で賃金改善分を獲得した。24組合の所属産別ごとの内訳は、自動車総連が16、JAMが3、基幹労連が3、全電線が3。

昨年は、最終的に全部で159組合が要求し、うち60組合が賃金改善分も要求。回答では、賃金構造維持分を確保した組合が155組合で、そのうち賃金改善分を獲得した組合が12組合だった。今年はまだ50弱の組合が回答を引き出していないにもかかわらず、改善獲得組合の数がすでに2倍の規模に達している。なお、26日現在での平均の定昇込み回答金額は、実額が把握できる39組合で5,181円となり、昨年の最終実績(57組合、5,086円)を95円上回っている。

一時金は、業績連動方式で支給額が判明した組合も含め、75組合で支給額が確定した。前年の実績を上回った組合が42、同水準が14、水準下落が19で、増額となった組合数が減額となった組合数を大きく上回った。平均月数は4.61カ月で、前年の最終平均月数に比べ0.13カ月増。金属労協が最低獲得水準としている年間4カ月を下回る組合は11組合(14.7%)で、昨年の最終実績(29組合)を大きく下回りそうな内容となっている。

西原議長は、現時点で賃金、一時金ともに昨年を上回る実績になっていることから、「労働条件の下支え、底支えに寄与する内容であり、各組合の奮闘により一定の役割を果たしたと評価する」とコメントしながら、「まだまだ続いていく中小組合の回答状況を注視していきたい」と述べた。