三菱重工、住友金属鉱山で一時金が満額/基幹労連の春闘回答

(2013年3月15日 調査・解析部)

[労使]

基幹労連の各組合への一時金回答では、三菱重工が、経営側が「年間49万円+4カ月」の満額回答を示し、住友金属鉱山も組合側の年間180万円の要求に対し、経営側が満額で応えた。ただ、神戸製鋼所では組合側が年間89万円の回答を受けるなど、業績によって各社で明暗が分かれる回答内容となった。

賃上げなどの本格的な労使交渉を2年サイクルで行っている基幹労連では、今年は一時金交渉と中堅・中小による格差改善が中心となる隔年春闘の「裏」の年にあたる。そのため、新日鐵住金などの大手鉄鋼メーカーの組合、三菱重工などの総合重工組合、三菱マテリアルなどの非鉄大手の組合は、賃金交渉を行わない。

大手鉄鋼メーカーでは、新日鐵住金、JFEスチール、日新製鋼が業績連動方式をとっている。労使交渉を行った神戸製鋼所では、組合側は年間100万円を要求したが、13日に示された回答は年間89万円と、要求額を大きく下回った。同社では、2013年3月期の通期での連結業績予想で赤字を見通している。

総合重工では、川崎重工が業績連動方式を採用している。三菱重工以外の回答をみていくと、IHIが「年間25万円+4カ月+成長協力金4カ月」、住友重機が年間4.95カ月、三井造船が年間4.5カ月、日立造船が「年間10万円+4カ月」。キャタピラージャパンは「賃金制度改正により、季節手当などに織り込み済み」という回答表示となっている。

非鉄大手では、三菱マテリアル、DOWA、JX日鉱日石金属が業績連動方式を採用。住友金属鉱山以外で交渉したのは三井金属で、組合要求(年間148万5,000円)に近い年間147万円を経営側は回答した。住友金属鉱山、三井金属ともに昨年実績と比較すると、微減となっている。

中堅・中小による賃金格差の改善要求の状況をみると、12日現在で格差改善の要求を行った組合が67組合(要求組合の総数は261組合)となっている。退職金の増額要求をしている組合も76あるという。

基幹労連の神津里季生委員長は13日の金属労協での記者会見で、一時金の回答内容について「昨年に比べほとんどの企業で収益が減少しているなかでの厳しい状況を勘案すると、ぎりぎりの交渉のなかで、組合員のがんばりにかなり応える回答を引き出すことができた」と述べた。