労働規制の緩和に反対するアピールを採択/連合の政策制度要求実現集会

(2013年3月8日 調査・解析部)

[労使]

連合は3月6日、2013春季生活闘争・政策制度要求実現3・6中央集会を東京・日比谷公会堂で開いた。集会には組合員ら1,800人が参加。政府の経済財政諮問会議などで、解雇や労働時間、派遣などの規制緩和策が論点に上がっていることに反対する緊急アピールを採択した後、都内をデモ行進した。

雇用不安、将来不安を助長しかねない動きが

あいさつした古賀会長は安倍政権の政策運営について、「政府は大胆な金融緩和、先週成立した補正予算を含めた財政出動、成長戦略という3本の矢でデフレ脱却、経済再生を前面に押し立てている。いわゆる『アベノミクス』に対する期待感から円安・株高が進み、楽観的な見通しを持つ人が増えてきているが、それは期待だけに基づくものであり、働く者の暮らしや労働条件は傷んだまま改善しておらず、むしろ将来に向けて大きなリスクをはらんでいる」などと説明。「物価だけ上がって働く者の所得が上がらない事態になれば社会は混乱に陥る。実態経済を放置したままお金だけ増やしてもデフレは解消できない」などと述べた。

写真・檀上あいさつする古賀会長

そのうえで、政府の経済財政諮問会議などで労働規制の緩和策が打ち出されていることに対し、「雇用不安、将来不安を助長しかねない動きがでてきている」と指摘。「『アベノミクス』の成長戦略の柱とされているのが規制改革であり、そこではかつての解雇の金銭解決やホワイトカラー・エグゼンプションを彷彿とさせる労働規制の緩和が提起されている。また、改正労働契約法が来月から施行されようとしているときに、有期雇用規制を取りやめろといった意見まで出ている。解雇の金銭解決制度はカネさえ払えば違法・無法な解雇を行っても許されるといった風潮を招きかねず、ホワイトカラー・エグゼンプションは残業代も支払われないままに労働者をさらなる長時間労働へと追い込むものだ」と厳しく非難した。

集会では、「『柔軟で多様な働き方を進めるための規制改革』という美名のもとに労働者保護を大きく後退させる動きに断固反対していく」などとする「労働規制の緩和に反対する緊急アピール」を採択した。

先行組合の回答を中小・非正規につなげる

連合の2013春季生活闘争の要求集計(3月4日現在)によると、これまでに要求を提出したのは3,297組合で、前年同時期(3月9日、3,116組合)に比べ181組合多い。このうち、数字で把握できる賃金改善分を求めているのは1245組合で、その額は単純平均で3,123円。前年同時期(519組合、2,674円)より449円高くなっている。

古賀会長はこうした状況にも触れ、「この春の労使交渉がデフレ不脱却・経済再生のカギを握っているといっても過言ではない。デフレ脱却には政府の政策だけでは不十分。経営者は真摯な要求に人への視点も含め誠実に応えてほしい」などと訴えた。

また、2013闘争は連合が「すべての働く者の処遇改善」を掲げて4年目の取り組みになる。古賀会長は、「痛みが集中しているのが中小・零細で働く労働者であり、非正規労働者。いまや働く者の4人に1人が年収200万円以下の実態にあり、こうした現状を置き去りにしてデフレ脱却・経済再生などありえない」として、来週13、14日に回答を引き出す大手製造業などの先行組合に対し、「社会的責任を果たすためにギリギリの努力を行って回答を引き出し、その結果を中小共闘、非正規共闘につなげよう」と呼びかけた。

なお、集会の前段では、運動の継続と広がりのために非正規・パートで働く労組リーダーが意見交換などを行う「非正規・パートもがんばる!交流集会」を開催。集会後には、4年ぶりに都内をデモ行進した。