誰でも時間給100円以上、月額1万円以上の賃上げを/全労連

(2013年1月25日 調査・解析部)

[労使]

全労連(大黒作治議長、約83万人)は1月23、24の両日、都内で評議員会を開催し、2013年の春闘方針を採択した。方針では、「誰でも時間給100円以上、月給1万円以上」の統一賃上げ要求を提起。3月中旬の集中回答日に向け、産別統一要求に反映させ、要求実現に向け全労連一体で取り組む。

国民との共同を広げる運動に

13春闘では、「変えよう 職場・地域と政治、勝ちとろう 賃金・雇用・くらしの改善」をスローガンに掲げ、職場の団結を軸に、地域で民間・公務・業種・雇用形態を超えた労働者の連帯を強め、たたかいを進めるとともに、国民との共同を広げる運動に取り組む方針を打ち出した。

焦点となる賃金改善については、傘下組合員へのアンケート結果を踏まえ、「誰でも時間給100円以上、月給1万円以上」の統一賃上げ要求を確認した。これは、定期昇給分も含めたもので、03春闘より掲げる要求額だ。あわせて、最低賃金改善要求として、「月額16万円、日額7,500円、時間額1,000円」の目標を掲げ、全産業、全職種にわたるすべての労働者を視野に、誰もが保障されるべき最低生計費を満たす水準を求める。

賃金以外では、労働時間改善など良質な雇用確保をめざした取り組みを進める。不払い残業や労働法制を脱法するなど、違法な働かせ方をする職場に対する取り組みを強める。あわせて、年次有給休暇取得率の向上、週60時間以上労働者の解消など、具体的な目標を示した労働時間短縮の取り組みを単産主導で進める。さらに、非正規労働者の正規化を、「直接・無期雇用が当たり前=若者にまともな雇用を」キャンペーンとも連携し取り組みを強める。

その他、法の趣旨を踏まえた改正労働契約法や高齢者雇用安定法の運用、パート労働法や男女雇用機会均等法など「働くルール」の拡充、電機産業などでのリストラ合理化反対、公契約条例制定運動の全国展開などを提起した。

昨夏の大会で「150万全労連」を柱とする組織拡大中期計画(2012~2015年度)を打ち出した組織拡大については、団塊の世代の大量退職や公務・教員の採用絞り込みなどの影響で、純減傾向にある現状を踏まえ、13春闘では、医療・介護などの福祉分野を組織拡大の重点分野と位置づけることも確認された。質疑討論でも、「これまで非正規の組織化が十分でなかった。正規組合からの脱皮をめざす」(道労連)、「組織拡大に特効薬はない。既存組織の日常活動で力量をつけるのが大事」(自交総連)など組織拡大に関する発言が相次いだ。

なお、全労連は22日、経団連が発表した「経労委報告」について、「日本経済の危機を煽り、企業への『従属』を労働組合に迫るという身勝手な主張に貫かれている」などと批判する小田川義和事務局長の談話を発表した。