古賀会長「人を中心に位置づけた政策議論を」/連合の新年交歓会

(2013年 1月 9日 調査・解析部)

[労使]

連合は7日、都内のホテルで新年交歓会を開いた。古賀伸明会長は、主催者代表挨拶で、人が中心に位置づけられた国民的議論で、政策が策定されていくべきだと訴えた。前回の首相就任時には出席しなかった安倍総理大臣も出席し、来賓挨拶した。

雇用問題は我が国の持続可能性を問う社会全体のもの

写真・檀上で古賀連合会長のあいさつ

古賀会長は、「私たちは大きな歴史的転換点のまっただ中にあるといっても過言ではない。さまざまな課題が複雑に絡み合う環境変化のなかで、私たちの働き方や暮らし方、さらには生き方まで影響を及ぼしている。これまでの仕組みを組み替えながら、この環境変化と生涯にわたる政策に向けて、新しい社会経済モデルが求められている」と、現在の社会情勢を分析したうえで、低年収層の増大や非正規労働者の比率拡大、若年者の雇用問題や長期失業などを具体的な社会・経済面での問題点として列挙した。さらに、「これらの現象は社会的な許容限度を超えているのではないかと私は思っている。しかも、強調したいことは、この種のことはけっして労働市場や雇用形態の問題だけではなく、我が国の持続可能性を問う日本社会全体のものとして受け止めなくてはならない」と強調し、事態の深刻さを訴えた。

政労使で方向付けし、国民的議論を

古賀会長は、こうした社会・経済のひずみを解消するには、労働政策だけでなく経済政策なども含めた総合的な政策を打つ必要があるとしたうえで、「省庁間の壁を取り払い、政府がまさにそれらの政策について、政労使という枠組で方向づけをし、国民的議論をすることが急がれている」と述べ、政権交代を踏まえた政策決定のあり方について言及。続いて、「当然、その中心には人、人材が位置づけられなければならない」としながら、「市場や社会が人の生活を支配するのではなく、分かち合いや支え合いという協力原理が政策の中心に考えられることが極めて重要だ」と強調した。

大胆な金融政策などによって元気を取り戻す

政府代表の来賓として、安倍晋三首相が出席し、あいさつした。安倍首相は「我々に課せられた使命は経済を取り戻すことだ。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間企業の投資を引き出す成長戦略、この3本の矢によって日本経済を成長させていきたい。そして、もっと日本人が元気を出して豊かになれる、そういう国を取り戻していきたい」と述べた。

経団連を代表して挨拶した宮原耕治副会長(日本郵政会長)は、製造業を圧迫する円高や、エネルギー供給問題があるなかでの国内新規投資の困難性、TPP参加への遅れなどを問題視したうえで、「経済界としては、やはり雇用を大事に守っていきたい。今のような不幸な状況が続くと、行き着くところは、雇用の減少・縮小ということにならざるを得ない。政治の力で6重苦を早く取り除き、後は民間の力で皆さんと一緒に、活気ある経済、そして企業の成長を実現したうえで雇用を確保・増やしていくことに全力を投入したい」と述べた。

忙しくても給料が上がらないのは異常

最後に来賓挨拶に立った田村憲久厚労相は、とにかく経済を再生させていくことが必要だとしながら、「ずっと雇用者報酬が上がらない状況が続くと、働く方々の元気も出ない。やはり、デフレを退治しないといけないし、円高を是正しないといけない。いくら忙しくても給料が上がらないのは異常だ。ちゃんと利益がのって、物が売れて、サービスが提供できる、そういう社会を実現していくことではじめてすべてがうまく回る」と力説した。なお、支持政党である民主党からの挨拶はなかった。