介護保険法改正や報酬改定の影響を調査/日本介護クラフトユニオン

(2012年12月21日 調査・解析部)

[労使]

ヘルパーなど介護従事者約6.5万人を、会社の枠を超えて組織する職種別労働組合の日本介護クラフトユニオン(陶山浩三会長、UAゼンセン傘下)は18日、「2012処遇改善調査」結果を公表した。4月に行われた介護保険法の改正や介護報酬改定の影響を探るため、2012年3月と8月の賃金や労働時間などを調査・比較した結果、賃金については全14職種で増加。労働時間では、時間区分の見直しが行われた訪問介護でも、労働時間数の増加がみられたことなどが明らかになった。

平均月給は3月→8月で全職種とも増加

同調査は、2009年から毎年実施しているもの。今回は本年9月時点で、月給制・時給制の組合員各2,000人を対象に実施し、月給制1,098人、時給制986人の計2,084人から得られた有効回答を集計している。

今回の調査では、4月に行われた介護保険法の改正や介護報酬改定の影響を探るため、2012年3月と8月の賃金や労働時間の変化などを調査・比較した。

それによると、賃金(平均月給)については全体で、月給制が3月時点:21万3,799円→8月時点:21万6,468円となり2,668円(1.2%)の増加、時給制が同12万9,786円→13万2,767円となり2,981円(2.2%)の増加となっている。

職種別にみても、バラつきはあるものの全14職種で増加している。例えば、訪問系介護員では、月給制で3月時点:18万4,225円→8月時点18万6,627円となり、2,402円(1.3%)の増加。時給制では同11万3,132円→11万6,136円となり、3,004円(2.6%)の増加となった。

一方、労働時間(月当たり平均就労日数・時間)については全体で、月給制が3月時点:21.8日・176.9時間→8月時点:21.9日・179.6時間となり0.1日・2.7時間の増加、時給制が同19.4日・127.3時間→19.7日・130.6時間となり、0.3日・3.3時間の増加となった。

これを職種別にみると、バラつきはあるものの訪問系介護員や施設系介護員(入所、通所とも)等については増加している。中でも、時間区分の見直しが行われた訪問系介護員をみると、月給制が3月時点:22.9日・173.3時間→8月時点:23.0日・180.9時間となり0.1日・7.6時間の増加、時給制が同21.0日・97.1時間→21.1日・99.6時間となり0.1日・2.5時間の増加となっている。

月給制・時給制とも約4割で処遇改善加算が「入っている」と認識

今回の調査では、介護職員処遇改善加算の創設が、介護労働者の処遇にどう影響したかについても探っている。

まず、介護職員処遇改善加算の認知度については、月給制では80.5%、時給制では63.5%が「知っている」と回答。そのうえで、介護職員処遇改善加算の反映方法を聞くと、「基本給に入っている」と認識している割合は、月給制で4.2%に対し、時給制で7.0%。「手当として」は月給制17.7%、時給制15.5%で、「一時金として」が月給制で19.5%、時給制で15.8%となった。月給制、時給制ともに約4割が、何らかの形で処遇改善加算が「入っている」と認識していることになる。

一方、介護職員処遇改善加算が「反映されていない」とする割合は月給制で22.2%、時給制で15.9%、「わからない」は月給制で24.8%、時給制で32.7%などとなっている。

なお、介護職員処遇改善加算の支給方法の説明有無について聞くと、「説明されている」割合は月給制で42.7%、時給制で35.0%などとなった。

注)^ 前回の同調査結果については、ビジネス・レーバー・トレンド2012年11月号の特集「介護労働者の処遇の現状はどうなっているか―日本介護クラフトユニオンと介護労働安定センターの調査から」PDF で紹介している。