派遣法のあり方に関する研究会を開催/厚労省

(2012年10月19日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省は18日、学識経験者からなる「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」(座長:鎌田耕一東洋大学法学部教授)の第1回会合を開いた。先の通常国会で成立した改正労働者派遣法で導入が見送られた製造業務派遣や登録型派遣の禁止について改めて検討するほか、労働者派遣制度のあり方について幅広く議論し、法的・制度的な観点から必要な見直しを検討する。

登録型派遣、製造業派遣を含め幅広く検討

雇用契約期間が30日以内の日雇派遣の禁止や派遣料金についての情報公開などを盛り込んだ改正労働派遣法が10月1日から施行された。法律施行直後に制度の見直しを議論するのは異例のことだ。

労働者派遣制度は、今年3月に成立した改正労働者派遣法の国会審議で、登録型派遣・製造業務派遣・特定労働者派遣事業のあり方などについて、今後、検討・議論を開始する旨の附帯決議が付されていた。また、「『国民の声』規制・制度改革集中受付に提出された提案等への対処方針」のあり方についても必要な見直しの検討を行うとされている。

そのため、学識経験者からなる研究会を開催し、改正法では見送られた登録型派遣や製造業派遣の禁止規定を含め、労働者派遣制度の今後のあり方について、法的・制度的な観点から専門的な検討を行う。

検討事項としては、登録型派遣・製造業務派遣・特定労働者派遣事業・派遣期間のあり方を中心としつつ、「派遣先の責任の在り方について」「派遣労働者の処遇について(均等待遇、労働・社会保険の適用促進を含む)」「派遣労働者のキャリアアップ措置について」など労働者派遣制度を取り巻く諸課題についても幅広く議論。また、現行では派遣先の業務がいわゆる「専門26業務」に該当するかどうかで派遣受入期間の制限が大きく変わることについても、派遣労働者や、派遣先、派遣元にとってわかりやすい制度となるよう整理する。

議論の中で、小野晶子JILPT研究員は「これまで派遣制度は繰り返し見直しされてきたが、すでに日本の労働市場にそぐわなくなってきている。抜本的な見直しが必要ではないか」と発言。さらに「これまでは正規労働への代替を禁止することが目的の法律だったが、今後は派遣労働者のキャリアを形成するための法律に変えていくべき」とコメントした。

この発言を受け、山川隆一慶応義塾大学法科大学院教授も、「現行制度はつぎはぎだらけの状況。誰の利益がどのように保護されているのか見えにくくなっており、整理する必要がある」と述べた。

研究会では今後、派遣業界や有識者からのヒアリングを経た上で、検討を重ね、来年の夏頃をめどに報告書をまとめる。