初めて「雇用創出率」と「雇用消失率」を試算/2011年雇用動向調査結果

 

(2012年09月14日 調査・解析部)

[統計]

厚生労働省は12日、2011年「雇用動向調査」結果を公表した。事業所の開設・廃止による雇用数への影響を把握するため、今回初めて同調査結果と雇用保険の事業所の新設、廃止の記録を用い、「雇用創出率」と「雇用消失率」を試算して示している。

雇用創出率は5.2%、雇用消失率は5.9%

試算は、「公的統計の整備に関する基本的な計画」(2009年3月13日閣議決定)において、「事業所の開設及び廃止による雇用増減への影響を把握するため、諸外国で整備されている雇用創出及び消失指標を我が国でも整備する」とされたことを受け、今回初めて実施した

「雇用創出率(雇用消失率)」とは、それぞれ1年間で創出(消失)された雇用者数を、前年末の雇用者数に対する割合で表したもの。1年間で創出(消失)された雇用者数は、「前年末から本年末にかけ雇用を増やした(減らした)事業所の雇用増(減)分の総数」と「同じ間に新設(廃止)された事業所の本年末の雇用総数」の合計で算出している。

試算の結果、2011年の雇用創出率は5.2%、雇用消失率は5.9%となった。これらから、雇用純増率を算出すると-0.7%で、雇用再分配率(いわゆる延べ移動率)は11.1%となる。

今回の試算では、09~11年の3カ年分の数値を算出している。雇用純増率の推移をみると、2009年の-2.0%から、2010年は-1.1%、2011年は-0.7%と、いずれも雇用創出率よりは雇用消失率の方が上回ってきたものの、その幅は「リーマン・ショック時点からみると縮小傾向にある」(雇用・賃金福祉統計課)ことが分かる。

雇用創出率、雇用消失率を企業規模別にみると、いずれも5~29人がもっとも高く、それぞれ6.7%、6.4%となっている。また、産業別にみると、雇用創出率は宿泊業、飲食サービス業が8.1%でもっとも高く、次いで不動産、物品賃貸業が7.9%など。雇用消失率は情報通信業が9.2%でもっとも高く、次いで宿泊業、飲食サービス業が8.9%などとなっている。

延べ労働移動率は最低水準に

一方、2011年における入職率は14.2%、離職率は14.4%で、ともに前年より0.1ポイント低下した。その結果、延べ労働移動率は28.6%と、比較可能な平成16年以降で最低水準となった。

注)平成17~20年分についてはJILPTが試算(資料シリーズ No.95「雇用創出指標・雇用消失指標」)している。