高齢法など一連の改正法への対応指針を作成/JAMの定期大会

(2012年09月05日 調査・解析部)

[労使]

金属・機械関連の中小企業を多く組織するJAM(眞中行雄会長、約39万人)は8月30、31の両日、静岡県熱海市で定期大会を開催し、2013年度活動方針を確認した。国会で労働法制の改正が相次いでいることから、「労働関連法改正にともなう労働組合の対応指針」(仮称)を作成し、単組レベルでの対応を支援する。60歳以降の継続雇用については、すでに労使協議に入っている大手単組などの先行事例を指標にして秋季・年末闘争での協約締結をめざす。

約80組合が定年延長を求め協議中

対応指針は、一連の改正法の内容が出揃った段階で、本部で内容を精査し、各法への対応を一括してとりまとめる。国会ではこれまで、改正労働契約法、改正労働者派遣法、改正高年齢者雇用安定法が成立している。

8月29日に成立した改正高齢法の内容と絡んでくる60歳以降の継続雇用では、現在、傘下組合のうち約600組合が経営側との協議に入っている。うち300程度の組合が継続雇用制度で希望者全員の雇用をめざして話し合いを続けており、80程度の組合が定年延長を要望して協議を進めている。大手単組で定年延長を求めているところには、島津、クボタ、井関農機などがある。

写真・定期大会のようす遠景、あいさつする眞中会長

大会の冒頭であいさつした眞中会長は、60歳以降の雇用に関する取り組みについて「単組からは、これまでは法改正の内容を見たいとの声が多かったが、昨日成立した。単組は大至急、2013年問題の詰めを行い、制度開始までの周知期間を確保してほしい」と構成単組に呼びかけた。

企業内最賃の協定化を急ぐ

方針に盛り込まれたこのほかの活動内容では、賃金の底上げに関する取り組みについて、引き続き、「賃金実態の把握に基づき、賃金構造を明らかにし、賃金水準を下げない取り組みを継続して進める」としている。具体的には、標準的な労働者の賃金水準の開示を進め、賃金の社会的な水準の形成・確立をめざすとともに企業内最賃協定の締結と水準引き上げを図り、産業別最賃(特定最賃)につなげる取り組みを強化する。

JAMの傘下で企業内最賃協定がある組合は6割を超えており、現在は協定できていないものの「協定とすることは可能」という組合が3割あるという。眞中会長は「未組織労働者のための水準引き上げの材料にもなるので、(賃金の制度化とあわせて)最低賃金の協定化も推進してほしい」とあいさつのなかで強調した。

賃金の制度化も急ぐ。JAMではまた半数弱の組合が賃金の制度化を達成できていない。

この1年の組織化は2,200人

組織拡大の取り組みでは、昨年度に引き続き、産別未加盟組合への対策や未組織労働者の労働組合結成による加盟の取り組みを積極的に進めるとしている。地方JAMでは組織拡大推進委員会の設置を進める。また、大手労組と連携し、関連・協力企業のなかで個別に組織化ターゲットを設定し、大手労組、本部・地方が連携して取り組みを進める。JAMでは昨年度は「50組合、5,000人」を組織拡大目標とし、実績(オブ加盟は除く)は、日研工作所労働組合(大阪)など30組合、2,272人だった。

大会ではこのほか、2012年末一時金闘争方針を確認したほか、政策制度の実現を推進していくため、来年の参議院選挙で再選をめざす轟木利治議員(基幹労連国政フォーラム幹事長)を支援していくことなどを確認した。