厚労省の女性就労促進特命チームがプロジェクト案を発表

(2012年05月16日 調査・解析部)

[労使]

厚生労働省の「女性の就労促進特命チーム」は14日、企業における女性の就労促進に向けたプロジェクトの案を明らかにした。目玉として労働局の担当職員が企業に対して、直接、女性の積極的活用を働きかける「営業」活動の展開を盛り込んでいる。2015年度末までに2万1,000社の訪問をめざす。

同案は今年4月9日に開かれた政府の国家戦略会議のなかで、「女性の活躍により経済を活性する観点から、政府が重点的に行うべき取組を関係閣僚が連携して6月までに整理し、年内に工程表を策定する」との議論を踏まえて、策定されたもの。現状、有期労働者を含む一般労働者の賃金水準は、男女格差が大きく、男性を100とした場合、女性は約70で、フランス、ドイツ、アメリカ、イギリスなど他の先進国が80を超えているのに比べると低い水準だ。

その要因のひとつとして、管理職に占める女性の割合が低いことがある。従業員規模100人以上の企業をみると、課長級以上の女性管理職の割合は2011年時点で7.2%と2000年の水準(3.5%)の約2倍になっているものの、他の先進国が3割台~4割台となっているのに比べるとまだ十分な水準とはいえない。

厚生労働省では企業における女性従業員の活躍推進に向けた積極的な活動「ポジティブ・アクション」の推進に努めているが、従業員規模では小さい企業では取り組みに遅れが目立つ。

今回、特命チームが示したプロジェクト案は、三つの柱からなる。一つ目は、「女性の活躍促進・企業活性化推進営業大作戦」の実施。これは、厚生労働省に女性の「活躍促進・企業活性化推進チーム」を2~3年程度の時限措置で設置するとともに、各都道府県労働局の担当者が各企業に対し、「営業」活動を展開し、女性の活用を働きかける内容となっている。2015年度末までに2万1,000社の訪問をめざす。

二つ目として、企業内における男女格差の状況の「見える化」の推進を掲げている。チェックシートなどにより、労使で男女の均等がどの程度進んでいるかを把握し、ポジティブ・アクションにつなげる仕組みづくりに活かしてもらうのがねらい。さらに採用状況や管理職比率などの開示を働きかけるとともに、専用サイトやCSR報告書などに盛り込んでもらうことも推奨する。

三つ目は、先輩女性社員が後輩の女性社員を指導する「メンター制度」の導入支援だ。制度を単独で実施することが困難な中小企業を対象にネットワークの構築を働きかけ、勉強会や研修の実施などを支援する。

これらの取り組みにより、2014年度末までにポジティブ・アクションに取り組む企業の割合を31.7%(2011年度時点)から40%超にするほか、2015年度末までに女性管理職の比率を10%程度まで引き上げることをめざす。

今後、詳細を詰め、年内には工程表を策定する予定。企業への営業活動は2012年度から先行的に実施する。