効果的な雇用政策の方向性を検討/厚労省が雇用政策研究会を開催

(2012年04月06日 調査・解析部)

[行政]

厚生労働省は4月5日、第1回雇用政策研究会を開催した(注1)

同研究会は、経済構造が急激に変化する中で、直面しているさまざまな雇用問題について、効果的な雇用政策の方向性を検討するため、職業安定局長が学識経験者16人を参集したもの(座長:樋口美雄 慶応義塾大学商学部教授)。

現状分析やあり方の検討など10回程度議論を重ね、本年夏(7月)頃の報告書策定をめざす。

今回検討する主なテーマには、 (1)日本の成長を担う産業の育成と一体になった雇用政策の推進 (2)若年者等就労支援 (3)新たな地域雇用創出――が挙げられている。

具体的には、 (1)中長期的に日本を支える産業 分野の整理・明確化や、そうした分野の成長を支える中核人材の育成、需給ミスマッチを解消するための人材育成、企業のグローバル化を見据えた雇用形態のあり方等について検討する。

また、 (2)学校から職場への円滑な移行を図るための雇用政策のあり方をはじめ、 新規学卒者の就職支援、日本の成長を支えるグローバル人材の育成、フリーター、ニート等に対するきめ細かな支援のさらなる充実等をめぐり議論する。

さらに、 (3)地方からの新産業の育成や地域に密着した産業を受け皿とする安定雇用機会の創出支援の推進、地域の教育機関、産業政策等と一体になった人材育成策の充実等も検討内容に挙げられている。

前回の雇用政策研究会は2009年12月~2010年7月にかけて開催し、報告書「持続可能な活力ある社会を実現する経済・雇用システム」をまとめた。「多様な正社員」の環境整備など、正規・非正規労働者の二極化解消に向けた働き方の改善や、「能力開発支援」「ポジティブ・ウェルフェア(積極的就労・生活支援)」「第二のセーフティネット」といった、労働力減少と非正規労働者の増加への対応策など、先進的な施策の方向性を提言した(注2)

今回は、成長著しいアジア諸国との価格競争、円高基調の継続による輸出産業の苦境、少子高齢化の進展に伴う人口減少社会など、取り巻く経済構造の変化が著しいなか、日本の成長を支える効果的な雇用政策のあり方について、一定の方向性を提起することが求められている。