中堅・中小の先行組合では12組合が賃金改善を獲得/金属労協

(2012年03月28日 調査・解析部)

[労使]

金属関連の5つの産業別労働組合で構成する金属労協(IMF・JC、議長=西原浩一郎・自動車総連会長)は27日、同日までの中堅・中小登録組合の今春闘における回答状況を発表した。登録・要求159組合のうち、132組合が回答を引き出しており、129組合で賃金構造維持分が確保されたことが同日までに確認された。そのうち、何らかの賃金改善を獲得したのは12組合となっている。

賃金改善要求は60組合

金属労協が同日、都内の本部で記者会見して発表した。金属労協では、2007年から、地域や産業内に影響力のある中堅組合、中小組合を本部に登録させ、交渉結果を公表している。中堅・中小組合の後に回答を引き出す組合への波及効果をもたらすのが狙い。発表によると、27日までで、159の登録組合すべてが要求。うち、何らかの賃金改善を要求したのは60組合となっている。回答を引き出したのは132組合(進捗率83%)で、そのうち賃金構造維持分確保が確認されている組合は129、うち賃金改善を獲得した組合が12となっている。

賃金改善を要求した組合数と獲得した組合数をそれぞれ、産別労組別にみると、自動車総連=19組合・2組合、電機連合=0組合・0組合、JAM=12組合・7組合、基幹労連=21組合・3組合、全電線=8組合・0組合となっている。最終的な賃金改善の獲得組合数について、金属労協では「昨年よりも厳しくなる見込み」(若松英幸事務局長)とみている。

一時金の平均獲得月数は4.55カ月

一時金では、109組合が回答を引き出し、昨年との比較が可能な組合でみると、昨年実績を上回ったのは38組合、同水準が21組合、下回ったところが45組合となっている。平均月数は4.55カ月(昨年比0.07カ月減)で、金属労協では「昨年の水準をほぼ確保できた」(若松英幸事務局長)と評価している。金属労協がミニマムとする4カ月に到達していない組合は15組合(13.7%)。現時点では、未到達の組合数は昨年よりも減っているが、若松事務局長は「まだ予断を許さない状況」と述べた。

一方、大手を中心とする集計登録組合(60組合)の回答状況も、会見であわせて報告された。16日までに60組合すべてが交渉を集約し、すべてが賃金構造維持分を確保。賃金改善では、18組合が要求し、コマツユニオン(JAM)、三菱マテリアル(基幹労連)、JX日鉱日石金属(基幹労連)の3組合が獲得した。

NEC労組は会社提案の受け入れを決定

若松事務局長は、「実際の交渉のなかで定期昇給が表に出されて労使で議論されることはあまりなかった」と話し、金属労協のここまでの交渉では定昇は交渉の争点にならなかったと総括した。

また、電機連合傘下のNECとシャープについては、事実経過を説明した。NECについては、NECグループ連合として、新たな費用削減のための施策を含む協議の申し入れを経営側から受け、15日から協議を始めていると説明。「3月26日に中央委員会を開催し、経営側からの提案の受け入れを決定したと聞いている」と述べた。具体的な提案内容は、福利厚生や時間外割増率の見直し、昇給したうえでの4月~12月までの4%の賃金カットなどだという。シャープグループ労連については、「協議を開始しているとのことだが、詳細な内容はまだ報告されていない」と話した。