1%の配分を求める/JEC連合の賃金改善要求基準

(2012年01月13日 調査・解析部)

[労使]

化学・エネルギー関連労組でつくるJEC連合(永芳栄始会長、12万人)は12日、都内で中央委員会を開き、「2012春季生活闘争方針」を決めた。賃金改善では、連合の方針を踏まえ、「目安として1%の分配を求めること」を要求基準とする。すべての組合が賃金カーブの維持分を確保したうえで、ベースアップや賃金カーブの歪み是正、諸手当の見直しなど「あらゆる手段を用いて適正な配分を勝ち取ることに取り組む」としている。

人の繋がりも含めた交渉を

あいさつした永芳会長は、「いまは中間層が崩壊し、二極化が進んでいる。社会全体の絆や繋がり、連帯の力が大変弱くなっており、職場においても日本の強みである現場の総合力、企業の行動力にも影響を及ぼしている。このような状態で取り組む2012春季生活闘争は、社会や職場の絆や連帯を復活させる取り組みでもある」と指摘。「(今春闘は)昨年の賃金の復元や底上げ、格差是正などの取り組みに加え、現場の総合力の強化をあげ、これを企業力、産業力の復元につなげていくことが大切。交渉では、人の繋がりも含めて主張して欲しい」と述べた。

写真・あいさつする永芳会長、檀上のようす

賃金改善に関しては、「適正な配分によって中間層を厚くして消費の拡大、内需拡大へつなげ、なんとしても持続可能な成長とデフレからの脱却を実現することが今春闘の大きな意義のひとつ」としたうえで、「各企業・単組で話す時には『一企業ではデフレの脱却とか世の中を変えるのはできない』と(経営側から)いわれるだろう。だからこそ、できるだけ同じ時期に同じような声をあげて交渉していこう」と呼びかけた。

月例賃金の改善はベア、カーブ是正、諸手当などあらゆる手段で

今春闘の方針は、企業から家計へ分配を反転させるものと位置づけた「2011年の基本的考え方や要求基準を踏襲していく」とした。

要求基準については、「業績の厳しい企業も含めて、すべての組合が賃金構造を崩さないために現行の賃金カーブの維持に取り組む」こととしている。そのうえで、月例賃金の改善について、「マクロ的な観点から、すべての労働者のために1%を目安に配分を求める」とする連合方針を踏まえて、 (1)ベースアップ (2)賃金カーブの歪みの是正 (3)諸手当の見直し (4)賃金カットや定昇凍結の復元など過去の積み残し分の補填――など「あらゆる手段を用いて、適正な配分を勝ち取ることに取り組む」考え。定昇制度を持たない中小労組の取り組みについては、「賃金実態を把握し、それに基づく年齢別の賃金水準を会社と確認することが、賃金水準の維持・工場のための必須条件」としたうえで、水準維持を図るための要求目安として、賃金実態調査などから「1歳・1年間差5,000円」を示している。

このほか、一時金は、「昨年実績および年間収入の視点を強めて、維持・改善を求める」として、年間4カ月をミニマム基準に設定。企業内最低賃金については、「社会的な賃金底上げをめざし、これまで以上に重視して取り組む」としており、協定最低水準を時間額880円以上としている。