IMFとICEM、ITGLWFとの組織統合などについて議論/金属労協・定期大会

(2011年9月7日 調査・解析部)

[労使]

自動車総連や電機連合など金属産業の5つの産別労組でつくる金属労協(IMF・JC、議長=西原浩一郎・自動車総連会長、207万人)は6日、横浜市で定期大会を開催し、2011~2012年度運動方針に基づく活動の後半期にあたる2012年度活動方針を確認した。大会では、東日本大震災からの復旧・復興と日本再生に向けた活動に傾注していく方針を、運動方針に補強。IMF・JCの上部団体である国際産別(GUF)の「国際金属労連」(IMF)が国際化学エネルギー鉱山一般労連(ICEM)、国際繊維被服皮革労組同盟(ITGLWF)との統合に向けた議論の状況を報告した。

サプライチェーン問題で金属産業の強み明確に

あいさつした西原議長は震災からの復興について、「被災地の復興を図り、これを日本再生につなげるためには『雇用なくして真の復興・再生』はあり得ないし、そのためにも金属産業が、被災地・東北はもとより日本においては良質な雇用を維持・確保していくことが不可欠」と述べ、金属産業の発展の必要性を強調した。

震災ではサプライチェーン(以下、SCと略)が寸断されたことで、自動車産業などで操業短縮や停止を余儀なくされ、それが生産拠点の分散化や部品等の仕様の共通化の流れを加速させているが、この点について西原議長は「SCを構成する業種・企業間での合意・納得に基づきリスク管理の観点からSC全体を強化するための検討を行うことは否定しないが、一方で今回の事態を通して、あらためて日本の、とくに金属産業の強みが明確になったことは認識すべきだ」と主張。SCの寸断が海外メーカーにも影響を与えたことをあげ、「SCのなかで中小企業を含め日本の金属産業が欠くべからざる要の役割を、『ものづくり』の力と製品の優秀さにより果たしていることを示している」と語った。

また、SCの急速な回復は、「金属ものづくり産業の力と思いの結集、現場力がいかに卓越したものであるのかを証明するものだ」と力説した。超円高などによる国内空洞化の懸念に対しては、国内基盤強化にむけた労使の自助努力を第一義としながらナショナルセンター連合の政策への意見反映と政策実現努力を継続していくと述べた。

TPP早期参加を

2012年度活動方針の具体的な内容をみると、賃金等の取り組みでは2012年闘争で、金属産業の位置づけにふさわしい賃金水準をめざすことを基本に、これまで以上に経済動向や産業・企業業績、産業間・企業間の状況の相違などを注視・精査したうえで取り組むとした。政策実現の取り組みでは、円高の是正や早急なTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)参加などに向けた取り組みを一層強化するとしている。

GUF統合(2012年6月)でも会費値上げは反対

国際労働運動面でのIMF・JCにとって現在もっとも大きなテーマはIMF(2500万人)のICEM(2,000万人)、ITGLWF(1,000万人)との統合。3団体は今年の5月にすでに合同執行委員会で統合を基本合意している。2012年6月にコペンハーゲンで統合大会が開催される予定で、その4年後の2016年大会までに、会費の一本化や執行委員数の削減が行われることになっている。大会では、会費値上げは「断じて認められない」(西原議長)との立場で主張していることや、新組織への加盟単位はIMF・JCとすることなどが本部から報告された。

昨年の定期大会で「組織運営検討委員会」を設置し、組織運営や会費の改定について検討してきたが、1985年から続いてきた現行の31円を、2012年1月から25円に値下げすることが提案され、承認された。同委員会では今後もIMF・JCの役割・機能について検討を進め、来年の定期大会で答申を示す予定。活動方針の討議では今後のJC共闘について、構成組織からは「今後もJC共闘の枠組みを堅持すべき」(基幹労連)、「賃金だけでなく労働協約項目についても製造業労組が思いを1つにして取り組む必要がある」(電機連合)との意見が出された。