日産、いすゞが年間一時金で満額回答/金属労協の登録組合の回答状況(24日時点)

(2011年3月25日 調査・解析部)

[労使]

金属労協(IMF・JC)は24日現在の「集計登録組合の闘争状況」を公表した。東北地方太平洋沖地震の影響で回答が遅れていた日産は、組合要求の「平均賃金改定原資7,000円」の要求に対し、昨年実績を300円上回る6,500円を回答。年間一時金は組合要求通り、5.5カ月分を支給する。また、トラックメーカーの一時金は、いすゞが年間一時金5.0カ月の満額回答。日野は、組合の年間5カ月要求に対し、4.7カ月+5万円の回答となっている。

賃金交渉では平均賃金改定額6,500円/日産

金属労協加盟の自動車総連傘下では、日産が年間一時金で5.5カ月の満額回答で決着した。年間一時金は前年実績比0.5カ月増。賃金については、日産は成果主義の賃金制度を用いているため定期昇給の概念はないが、組合側が賃金制度を維持するのに必要な「(組合員一人あたりの)平均賃金改訂原資7,000円」を要求していた。これに対する回答は「平均賃金改定額6,500円」。組合要求額を500円下回ったものの、昨年実績を300円上回った格好となった。

一方、トラックメーカーでは、いすゞと日野がともに賃金構造維持分を維持したうえで、年間一時金について、いすゞが組合要求通り5.0カ月分を回答。日野は5カ月要求に対し、4.7カ月+5万円の支給を回答した。ちなみに、昨年実績はいすゞが4カ月、日野は3.8カ月だった。

残るヤマハは25日にも回答が出る予定。金属労協では「28日に出す集計には書き込めるだろう」としている。

震災の影響色濃い電線大手にも回答が

6組合がエントリーし、震災の影響を踏まえ、回答を一週間延ばしていた全電線加盟の労組をみると、それぞれ賃金構造維持分はキープし、年間一時金については、古河電工が4.23カ月(131万7,000円)、住友電工4.78カ月(151万2,000円)、フジクラ4.19カ月(123万3,000円)、昭和電線3.32カ月(92万円)、日立電線3.98カ月(120万円)、今年から交渉方式を最低保障方式から平均方式に切り替えた三菱電線は2.80カ月(81万8,100円)+特別協力金3万円となった。昭和電線(昨年実績3.62カ月)と日立電線(同3.91カ月)、三菱電線(最低保障方式で同2.5カ月)の3労組は金属労協の掲げる最低獲水準「4カ月以上」に届かなかった。

また、すべての組合で産別統一要求の労働災害特別補償の業務上災害特別付加補償(有扶3,400万円、無扶3,200万円)と通勤途上災害特別補償(有扶1,700万円、無扶1,600万円)を実現した。

このほか、2年サイクルの交渉で今春闘では賃金交渉を行わない基幹労連の加盟組合のなかで、年間一時金で交渉方式を取る住友金属が回答を延期している。延期後の回答日は未定だという。