ベア1,000円を統一要求/JR連合

 

(2011年2月4日 調査・解析部)

[労使]

JR東海ユニオンやJR西労組が主力組合のJR連合(坪井義範会長、組合員数7万8,000人)は2日、岡山市で中央委員会を開き、今春闘でベア1,000円の統一要求を行うことを決めた。

JR連合は連合の「2011年春季生活闘争方針」の柱である「賃金カーブ維持分の確保」を踏まえ、定期昇給相当分の確保を前提に、平均賃金引き上げ方式、個別賃金引き上げ方式とも月額1,000円(純ベア)を要求する。定期昇給が「賃金カーブ維持相当分」として労使協定化されている組合は1,000円プラス定期昇給額を要求。一方、定昇が労使協定化されていない組合は、定昇相当分込みで5,000円を中心に要求する。

JRグループ7社の2010年中間決算では、JR東日本、東海、西日本、九州、貨物が単体・連結とも対前年比で増収となったことを受け、賃上げ要求の根拠としては、「目標賃金水準の実態と乖離を踏まえ、積極的なベア獲得により、目標賃金水準への到達が求められること」「企業業績の成果配分を求め、基本賃金の底上げによる労働分配率の是正を図る必要があること」などをあげている。

また、連合が今春闘を「すべての労働者の処遇改善」に向けた2年目の闘いと位置付けていることから、契約社員やパートなど非正規労働者の処遇改善にも取り組む。時間給額40円以上の引き上げを要求し、時間給が1,000円に達してない場合は1,000円をめざす。正社員化制度の創設や正社員との均等・均衡待遇(昇給ルール、慶弔休暇等)の要求も盛り込んだ。

JR連合は、昨年末の東北新幹線の青森開業や3月の九州新幹線・鹿児島ルートの全線開業を控え、鉄道ネットワークの充実による各社収益の好転も期待されることから、「成果配分をしっかり求めていく」構え。一方、経営側は、高速道路社会実験と料金の引き下げの影響や景気の先行き不透明感といった懸念材料があることなどから、交渉は難航しそうだ。

JR25年に向けた政策提言(中間報告)も確認

中央委員会ではまた、来年4月にJR発足から25年の節目を迎えることを受け、「JR25年に向けた政策提言-国鉄改革を完遂し持続可能な交通を気づくために」の中間報告も確認した。JR北海道、JR四国、JR九州の「JR三島」はいまだ経営基盤が弱く、完全民営化への目途が立っていないことから、安定経営の確保と将来展望の明確化に向け、各社の経営のあり方や恒久的な支援策の創設などを求めていくとしている。さらに「鉄道の特性を活かした、持続可能な交通体系の実現」を掲げ高速道路料金問題への対応や「交通基本法」の早期成立にも取り組む。