「時間額 100円以上、月額1万円以上」の賃上げ方針決定/国民春闘共闘

(2011年1月14日 調査・解析部)

[労使]

全労連などを中心につくる国民春闘共闘は12日、都内で「第1回単産・地方代表者会議」を開き、今春の賃上げ交渉の方針を決めた。「誰でも時間額100円以上、月額1万円以上の賃金引き上げ」を統一要求基準に設定。すべての労働者を対象に、「時給1,000円、日額7,500円以上、月額16万円以上」の最低到達目標をめざして交渉を展開する考えだ。そのほか方針は、 (1)週労働時間60時間以上労働者の根絶 (2)全国一律時給1,000円以上の最低賃金確立 (3)政府、自治体、大企業による雇用確保の責任追及――などを盛り込んでいる。取り組み日程では、3月16日を第1次集中回答日とし、翌日に全国で集会や一斉退勤行動を50万人規模で展開する「一日総行動」を配置。「目に見え音が聞こえる春闘」をスローガンに、宣伝活動や事業主団体訪問などの地域行動を強化するとしている。

主催者あいさつした大黒作治代表幹事(全労連議長)は、「相変わらず、国際競争力を持ち出し、手元資金がだぶついているにもかかわらず、賃上げで購買力をあげて景気回復させるという感覚もない。自分さえ儲かれば、内需などどうでもいいという態度だ」と述べて、経営側の姿勢を批判。「黙っていては景気回復も雇用維持もできない。今春闘を財界、大企業の横暴を断ち切る闘いとして発展させよう」と強調した。また、方針提案した小田川義和事務局長(全労連事務局長)は、「企業の現預金が200兆を超えている状況で、企業の内部留保を賃上げで内需拡大に回せという従来からの主張が、広範に認められてきた。連合の『連合白書』でも触れている」と述べ、取り組み強化を訴えた。

「賃上げによる景気回復を」(2011年春闘・闘争宣言)

採択された「2011年春闘・闘争宣言」では、企業の内部留保について「大企業の内部留保は99年の245兆円から、この10年で441兆円へと1.8倍にふくれ上がっている。利益のため込みの背景には、賃下げ、解雇、非正規化、下請け中小企業への買い叩きなど、労働者・国民への負担の押しつけがある」と分析。「諸外国をみれば、世界的不況と言われた時期にも、賃金は着実に上昇している。先進諸国でもできている賃上げに、なぜ日本の企業はこたえられないのか。(賃上げが)日本経済立て直しのカギだ」と強調して、経営側に賃上げによる景気回復を求めている。

議論では、「地味だが、未組織などすべての労働者に影響がある最低賃金の取り組みが重要だ。闘いの中で、『最賃1,000円』が社会的な目標となってきた。確実に運動は前進している」(生協労連)、「トラック労働者の年収はここのところ40万円以上下がっている。募集しても若者が集まらなくなっており、4年後には10万人不足するとも言われ、国交省も事業主団体も不安視している。この根っこは規制緩和。今春闘は民主党政権を問う春闘だ」(建交労)――などの意見が出た。