来春卒業予定の高校生の就職内定率は61.5%/日高教調査

(2010年12月1日 調査・解析部)

[労使]

 

来年3月に高校卒業予定の高校生の10月末時点の就職内定率が61.5%であることが11月30日、日本高等学校教職員組合と全国私立学校教職員組合連合(全国私教連)がまとめた「就職内定実態調査」結果で明らかとなった。前年の調査に比べてわずかながら改善しているものの、就職を希望する高校生の内定率は依然低い水準で推移している。

調査は全国27道府県の519校を対象に実施したもの。調査対象の来春卒業予定の高校生の数は80,570人。うち、就職希望者は卒用予定者の約3割にあたる24,512人だった。調査結果によると、10月末時点の就職内定率は61.5%で、前年同期より1.9ポイント回復したもののリーマンショック直前(08年10月)の74.6%と比べると13ポイントも下回っている。

ここ10年の経過について、日高教の佐古田博中央執行副委員長は「(大手金融機関の破綻などで景気が大幅に悪化した)1999年の調査では内定率は53.6%まで低下したが、翌年には62.8%まで戻った。今回は落ち込んだままで回復がほとんどみられない」と説明する。

固定化しつつある男女間、地域間の格差

男女間、地域間の格差も固定化しつつある。内定率が比較的高い「北陸・中部・東海」地域(75.9%)ともっとも低い「北海道・東北」地域とでは30ポイント近い差があり、前年(21.8ポイント差)よりもさらにその差が広がっている。

また、男子内定率が61.5%なのに対し、女子は52.8%と14.1ポイントの差が生じている。10ポイント以上の差が開いたのは04年度以降7年連続となる。

内定率低迷の背景にあるのは求人状況の悪化だ。青森県の全日制職業科では求人数が昨年から半減。9月以降、この高校を訪れた企業は皆無だという。こうした状況を日高教は、「内定率にはやや改善がみられたものの、求人の悪化で現場の危機感はかえって高まっている」(佐古田副委員長)とみている。

さらに、景気の先行きに不透明感が漂うなか、就職活動に関するルールを破る企業も増えており、その内容も深刻さを増しているという。とくに顕著なのが採用活動の長期化だ。応募してから結果が出るまで1~2カ月かかる企業もみられ、悪質なケースでは応募後、入社試験の日時を何カ月も連絡してこない企業もあるという。これまで高校生の就職活動では見られなかった「圧迫面接」(わざと意地悪な質問をするなどにより、受験者にプレッシャーをかけて反応をみる面接の手法)を行う企業の報告も寄せられている。

佐古田副委員長はこうした現状について「企業と学生の間の信頼関係が崩れつつある。学生を守り、ひいては日本の産業を守る意味でも企業は就職ルールを遵守する必要がある」と訴えている。