TPPに関する閣議決定で事務局長談話を発表/基幹労連

 

(2010年11月19日 調査・解析部)

[労使]

鉄鋼、造船重機、非鉄金属の労組でつくる基幹労連(神津里季生委員長、25万1,000人)は10日、「TPP(環太平洋経済連携協定)に関する閣議決定について」と題する工藤智司事務局長談話を発表した。政府がTPPへの参加を明確に示さなかったことを「きわめて残念だ」としている。

談話は、政府が9日の閣僚会議でTPPについて、「関係国との協議を開始する」と決め、参加を明確に示さなかったことを、「きわめて残念であると言わざるを得ない」と強調。「仮にTPPに不参加となった場合、足下の円高のなか、必死に生産活動を行っている輸出産業・企業への負の影響は計り知れず、日本は世界のGDPの約3割を占めるといわれる市場を喪失する可能性もあり、生産拠点の海外流出とそれに伴う雇用の喪失を加速させかねない」と指摘した。

その一方で、国際競争が高まる国内産業についても触れ、「特に農業分野においては政策の強化が求められるのは当然だ」と主張。そのうえで、「資源の少ないわが国が『ものづくり立国』を指向し、自由貿易国家として営々と発展し続けるためには、TPP参加を契機とする真の改革に取り組むことこそが、世界レベルでの貿易・経済ルール作りにおける日本の影響力を高め、わが国の総合的な競争力強化につながる」と訴えている。
▽基幹労連事務局長談話
http://www.kikan-roren.or.jp/news/danwa/20101110.html

連合、金属労協、全労連も見解を発表

なお、連合は11月9日、政府が包括的経済連携に関する基本方針について閣議決定を行ったことを受け、「我が国の将来の成長と発展の基盤を再構築するために、高レベルの包括的経済連携の強化を進めると同時に、国内産業の競争力強化等、抜本的な国内対策を先行的に推進するとの方針が明示されたことは評価できる」などとする、南雲弘行事務局長の談話を発表した。
▽連合事務局長談話
http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/danwa/2010/20101109_1289297022.html

また、基幹労連が加盟する金属労協(IMF‐JC、議長・西原浩一郎)は11月5日、TPPへの参加について「自由貿易体制の強化と国際競争力の確保を図るため、政府は早期にTPP参加表明を行い、参加交渉に着手していくべきである」との見解を発表している。
▽金属労協見解
http://www.imf-jc.or.jp/20101105_ttp.pdfPDF

一方、全労連は11月2日に、「農林漁業や地域経済の存在を危機に追いやり、地域での雇用喪失をより深刻化させるTPPへの交渉参加を断念するよう強く求める」などとし、TPPへの参加に反対する小田川義和事務局長の談話を発表している。
▽全労連事務局長談話
http://www.zenroren.gr.jp/jp/opinion/2010/opinion101103_01.html