産業政策の取り組み強化/JAM定期大会

(2010年9月1日 調査・解析部)

[労使]

機械金属の中小を中心に組織するJAM(河野和治会長、約39万人)は8月26、27の両日、東京都内で第12回定期大会を開き、昨年決めた2010~2011年の運動方針を補強する向こう1年間の活動方針を確認した。厳しい経済環境を背景に、雇用対策本部を引き続き設置して雇用確保の取り組みを強化することや、単組、企業へのヒアリングを踏まえた産業政策づくりに力を入れることなどを決めた。また、組織拡大を目指して非正社員をターゲットとした「有期雇用契約労働者の組織化指針」を策定することとした。

公正な取引構造の確立が必要

あいさつした河野会長は、「中小企業は産業構造の基盤を支える重要な役割を果たしている。中小企業が将来にわたって人材の確保や設備投資を行って、産業の基盤を支えていくためには、適正な利益の配分がなければならない。しかし、実際の取引関係では、恒常的な値下げ要請を受けて、納入単価は低く抑えられ、労働者が生み出した成果のほとんどが中小企業には残らないのが実態だ」と述べて、取引構造の不公正さを指摘。産業政策の重要性を訴えた。

産業政策については、昨年秋に立ち上げた産業政策プロジェクトで、業種別部会、地方JAMや単組に加えて企業も対象にしてヒアリングを重ねており、産業構造の転換を視野に入れた、競争力のある産業・企業の再構築のための産業政策立案をめざす。同時に、政策を実現させるため、産官学を巻き込んだ地域ネットワークづくりを進める考えだ。

公正な取引の確立による中小企業経営の環境改善も重要課題に位置づけており、中小企業庁が定める「下請適正取引等の推進のためのガイドライン」(11業種)について、強制力のある法制化を求めるとしている。

昨年の政権交代で支持する民主党が与党となり、先の参議院議員選挙でも、組織内候補の再選を果たしており、組織内国会議員との連携による産業政策の取り組み強化も狙っている。

有期契約労働者の組織化ガイドライン策定へ

組織拡大については、直接雇用の非正社員を組織対象に据えて、組織強化委員会で検討し、「有期雇用契約労働者の組織化指針」の策定をめざす方針だ。派遣労働者などについては、社会保険の加入状況などの点検活動を通年的に実施するとしている。

秋の労働協約の改訂交渉では、メンタルヘルス対策の強化と企業内労災補償の引き上げが最重要課題。メンタルヘルス対策は、業務外に起因する疾患も含め、本人、上司、産業医等内外の専門スタッフ・機関による総合的なケア体制の整備を要求する。企業内労災補償の引き上げについては、休業補償を労災保険給付と合わせて賃金の100%となるように付加給付を行うことなどを求めている。

その他、結成10周年記念事業として、組合員ニーズの把握による組織強化のための「組合員意識調査」を実施することなどを確認した。