「政治的影響力拡大の観点から課題残す」――連合が参院選の選挙総括

(2010年8月20日 調査・解析部)

[労使]

連合は19日の中央執行委員会で7月に実施された第22回参議院選挙のまとめを確認した。比例代表選挙において連合・組織内候補の候補者名による得票数が前回の182万票を大きく下回る159万票となったことから、「候補者名による投票の徹底は不十分であったと言わざるを得ず、連合の政治的影響力の拡大という観点からも、多くの課題を残した」と総括。そのうえで、選挙制度の分かりにくさが問題などと指摘し、「参議院の選挙制度改革は不可避」との見解を示している。

比例区で組織内候補者の得票数ダウン、全員当選果たせず

連合は、今回の参院選の対応方針として、「選挙区選挙において、民主党基軸で取り組み、候補者全員の当選をめざす」ことと、「組織内候補者全員当選に向けて、候補者名での投票の徹底をはかる」ことなどを確認。しかし、民主党は、目標に設定した勝敗ラインである改選議席数の54を大きく割り込む44議席の獲得にとどまる結果となった。

連合は、2010年2月から6月の5次にわたって、比例区で11人、選挙区で55人の候補者推薦を決めて、選挙戦に臨んだ。なお、選挙区では9人が連合組織内候補として出馬した。その結果、比例区・選挙区を合わせた連合推薦候補者66人中、36人が当選。このうち組織内候補者については、比例区で11人中10人、選挙区で9人中5人が当選した。

しかし、比例代表選で擁立した11人の候補者名での総得票数は、2007年7月に実施された参院選のときの182万票から159万票へと大幅にダウンした。なお、連合は2004年に8人(総得票数173万票)、また07年には7人の比例代表候補を擁立し、それぞれ全員当選させてきた。

参院の選挙制度改革は不可避

こうした結果について、参院選のまとめは、比例代表選における候補者数を前回から増やしたにもかかわらず、得票数が大きく低下したことについて、「これは、民主党の比例票の8.6%、候補者名の39.6%を占めており、前回のそれぞれ7.7%、41.2%と比べて、ほぼ変わらない割合となっている」と分析。その一方で、「今回のこうした結果では、連合が重視した候補者名による投票の徹底は不十分であったと言わざるをえず、連合の政治的影響力の拡大という観点からも、今後に多くの課題を残した」との評価を下した。得票数が減少した背景として、「民主党支持の全体的な伸び悩みによる運動の求心力低下」と「擁立構成組織を中心とした連合各組織の運動展開の課題」の2つの要因を指摘。そのうえで、連合と候補者を擁立した構成組織は「組織点検・強化あわせて多角的な視点で検証し、次回の選挙に向けて、より有効な戦略を確立する必要がある」と問題提起した。

さらに、候補者名での投票が少数にとどまる要因として、参院の比例代表選挙が衆院と異なり、政党名・候補者名いずれの投票も可能な点など、「有権者に分かりにくい問題もある」ことをあげ、各党も国会議員の定数削減を選挙公約に掲げていることから、「参議院の選挙制度改革は不可避である」とし、連合としても「そのあり方を検討していく」との方向性を打ち出した。