当面の運動方針を決定/サービス連合定期大会

(2010年7月23日 調査・解析部)

[労使]

ホテル・レジャー、観光・航空貨物等の組合でつくるサービス・ツーリズム産業労働組合連合会(サービス連合、約4万3,700人)は21日、都内で中間年の定期大会を開き、2010年の春闘総括や、09-10年の運動方針(補強)、2011春闘に向けた取り組み方針等を決定した。

「企業内・関連、未組織・未加盟、派遣添乗員等の組織化で着実に成果」(大木会長)

2010春闘で、サービス連合は雇用対策本部」を設置し、すべての労働者の雇用確保に努めることを前提にしつつ、「35歳年収550万円」の実現に向け、可能な限り0.5%相当の実質賃金改善要求を掲げて臨んだ。その交渉結果について、大木哲也会長はあいさつの中で、「日本経済は回復基調にあると言われるが、その波及がもっとも遅れる私たちの産業を取り巻く情勢はことのほか厳しく、交渉対応は長期化を余儀なくされた(交渉に臨んだ100組合中、3月内決着は13組合、4月末妥結は24組合)。そうしたなかで、賃金改善自体は限られた取り組み(8組合)にとどまり、また一時金も企業業績の影響を受けた水準の低下(15組合・前年比約0.55カ月減2.60カ月)や、夏季のみ決着を飲まざるを得ない事例(36組合・前年比約0.58カ月減1.65カ月)が増加したが、多くの加盟組合(62組合)で賃金カーブを維持できたことは、定昇の実施について粘り強く交渉を重ねた結果だ」などと総括した。

また、結成10周年の節目を迎える来年の大会に向け、「10万人組織の実現」を掲げている組織拡大の状況にも触れ、「厳しい雇用情勢(事業売却・再編や組合員減少・退職等の理由で5組合が解散・脱退)にあって、組織人員全体が微減(厚労省調査で前年比357人減)にとどまったことは、各加盟組合の懸命な取り組みにより、底支えが図られている結果と受け止めている。企業内・関連組織(阪急交通社労組で217人増等)、未組織・未加盟(名鉄グランドホテル労組171人増等)や、派遣添乗員ネットワークなど、それぞれの取り組みが着実に成果(1年間で809人を新たに組織化)を上げている」などと評価した。

来春闘では両業種で統一した要求指標を策定へ

大会では、2011年春闘に向けた取り組み方針として、 (1)ホテル・レジャー、観光・航空貨物の両業種で要求指標を統一化することを目指し、今大会で提起している「中期的な賃金目標『35歳年収550万円』の実現に向けた加盟組合の取り組みの一助となる指標(ロードマップ)の考え方」(注2)や、「ポイント年齢別最低保障賃金設定の考え方」(注3)も加味した目標を設定すること、 (2)具体的には現在進めている賃金調査結果を踏まえ、2011春闘に反映できるよう準備を進めること――等を決定した。

大会ではこのほか、 (1)現行の組織共済制度を維持するため、組合員一人当たり年間100円の掛金を新たに拠出してもらうこと(次期大会で最終決定) (2)サービス連合会費の納入について、今期から規約通り各組織人員の90%登録化(注1)を進めること(2011年度からの2年間で連合会費10円の引上げに対し、新たな負担増は行わないため)――等の財政基盤充実化策も提起した。

注1:2010年までにすべての組合で登録率50%以上を前提とし、以降、2年毎に10%の人員増を行い、最長8年で2018年までに、組織人員90%の登録適正化を目指すというもの。

注2:考え方としては、「『35歳年収550万円』に向け、各加盟組合が実態に即して主体的かつ段階的に取り組めるよう、一助となる指標を賃金実態調査を基に策定する。具体的には、年収水準をランクに分け、さらにランク内に複数の目標値を設け、少なくとも一定期間内(目安は(3~)5年以内)に、上位目標値に達するよう、また、可能な限り一つ上位のランクに達するよう組むこと」「世代間全体の取り組みとして進めるため、指標策定の目安となる基本的な年齢ポイントも設定する。具体的には、35歳(配偶者+子2人で年収550万円目標設定)のほか、18歳(高卒初任給、中労委・連合データとの比較。以下同)、20歳(短卒・専門卒初任給)、22歳(大卒初任給)、26歳(配偶者あり)、30歳(配偶者+子1人あり)でも設定すること」――などとしている。

注3:考え方としては、「(有期・無期を問わず)期間従業員を対象に、18歳ポイントについては全加盟組合の賃金調査に基づく18歳基本給の水準をベースに設定する。そのうえで20歳・22歳の設定は、18歳ポイントの最低保障賃金に、1年間で時給10年の賃金改定を加算した数値(10円×165時間=1,650円/)で設定すること」「26歳・30歳・35歳の設定は、 (1)休業補償6割に就労に係わる経費(年収の1割)を加算 (2)傷病手当金で標準報酬日額の2/3が支給される観点から各年齢ポイントの実在者の基本給加重平均の67%とすること」――などとしている。