第6次賃金政策の具体化に向けた検討へ/電機連合定期大会

(2010年7月14日 調査・解析部)

[労使]

電機メーカーなどの労組で構成する電機連合(64万人)は7月8、9の両日、名古屋市で定期大会を開き、向こう二年間の運動方針を決めた。メーカー大手の中闘組合全てで『賃金体系の維持』と『制度運営の完全実施』の回答を確保した2010春闘の賃金交渉を「最低限の水準を確保したもの」などと総括。そのうえで、今後の課題として、第6次賃金政策で示した「新たな目標水準」への到達に向けた取り組みなどをあげた。役員改選では、有野正治委員長、浅沼弘一書記長をそれぞれ選出した。

「電機連合第58回定期大会」/メールマガジン労働情報:労使記事(2010/7/14)/独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)

厳しい環境下にあってもギリギリの水準を確保

今大会で退任した中村正武委員長は冒頭のあいさつで、景気刺激策などで景気が回復の兆しをみせる一方、雇用情勢の悪化や経済の先行き不透明感など一昨年の世界同時不況の影響が色濃く残るなかでの交渉となった2010春闘の結果について「『賃金体系維持』を図れたことは、いかに厳しい環境下であっても労働組合が社会的使命を果たすうえで、ギリギリ、最低限の水準を確保し得た」などと評価。一時金に関しても、「中闘組合全体が『産別ミニマム4カ月』を確保できた。また、業績回復・改善企業組合では、『適正な成果配分』としての水準を確保できた」との見解を示した。

また、2年連続で500円の水準改善を獲得した産業別最低賃金(18歳見合い)にも触れ、「この水準の引き上げは、賃金の底上げを図るとともに、法定産業別最低賃金や法定地域別最低賃金の引き上げに結びつくものだ」と評価した。

新たな賃上げ「目標水準」を

2011春闘以降の課題としては、昨年の大会で確認した第6次賃金政策を踏まえた統一闘争のあり方について言及。「具体化に向けて、その優先項目について検討を深めていく」として、要求基準となる目標水準の引き上げなどの検討を進める姿勢を示した。

第6次賃金政策は、 (1)基幹労働者賃金の要求基準における「新たな目標水準」への到達に向けた取り組み (2)グループ別賃金改善額の設定についての検討 (3)年齢別最低賃金の設定ポイントの見直し(40歳最低賃金から35歳最低賃金への前倒し) (4)退職金の要求基準の見直し――などを提起しており、今春交渉以降の具体化に向け、目標水準額の設定などの組織内討議を進めるとしていた。今春闘では「賃金水準の低下を阻止し、全労働者の生活を維持、防衛する」観点で要求を組んだこともあり、課題の検討はこれから本格化することになる。

なお、目標水準の見直しに関しては、討論で三菱電機労連から「新しい賃金政策のねらい、新たな目標水準設定の根拠、これまでの目標水準との整合性などが組織全体として完全に共有化されているかといえばそうではない。理念だけが先行して現場がついていけないことが懸念される。活動過程を慎重に検討して欲しい」との発言があった。

組織拡大目標を2万人に設定

このほか、大会では、向こう2年間の組織拡大目標を2万人に設定して、その完遂を目指すことや、環境政策を産業政策の軸に据えて取り組むことなどを確認。国政選挙への取り組みについては、3年後の2013年施行される第23回参議院選挙に、東芝グループ連合に新人候補の擁立に向けた検討を要請したことも明らかにした。来年の大会で組織内公認候補の承認を求める考えだ。

有野委員長、浅沼書記長を選出

大会では役員改選があり、新委員長に有野正治氏(前日立労組委員長)を、書記長に浅沼弘一氏(前日本電気労組委員長)をそれぞれ選んだ。また、副委員長には野中孝泰氏(前パナソニックグループ労連副委員長)を選出した。