「多くが定昇のみ」加重平均で5,820円/春闘共闘の中間総括

(2010年6月25日 調査・解析部)

[労使]

 

全労連などを中心につくる国民春闘共闘は6月23日、都内で第2回単産・地方代表者会議を開き、今春の賃上げ交渉の中間総括を確認した。5月27日現在、加重平均で5,820円(1.89%)となった賃上げ結果について総括は、「多くが定昇のみ、ベアゼロに押し込まれている」としながら、金額回答組合の過半数が昨年妥結額以上の回答を引き出していることなどに触れ、「粘り強くたたかいを継続し、成果を勝ち取った単組も一定数出ている」と一定の評価を示した。

あいさつした大黒作治代表幹事(全労連議長)は、賃上げ結果について、「連合大手産別がベアゼロ、賃金カーブ維持しか目標とせず、財界は『ベアは論外。定昇凍結も』と主張した。大手の業績回復があっても、中小への波及が少ない厳しい状況の中で、全体としては検討した」と評価。「貧困・格差の解消を国民的課題とすることが重要。内部留保の還元要求に対して、財界は取り崩せるものではないと言うが、多額の株主配当、海外への投資など、矛盾は明かだ」と強調し、「内需主導型の社会に向け、大企業中心社会からの転換を」と訴えた。

パート時給の引き上げは14.9円(180組合の単純平均)

賃上げ集計(5月27日現在)によると、回答状況は、単純平均で5,321円(1.75%)、加重平均では5,820円(1.89%)となっており、前年同期と比べて、単純平均で38円増、加重平均で44円のマイナスとなっている。789登録組合のうち、回答を引き出したのは437組合(55.4%)。金額による回答があった組合の51.8%が前年妥結額以上の回答を引き出している。パートなどの時間給の引き上げ回答を得た180組合の単純平均額は14.9円(1.43%)となっている。

国民春闘共闘は、今春の賃上げ交渉で、「誰でも1万円以上、時給100円以上の賃金引き上げ」などを統一要求目標とし、大企業の内部留保還元とともに、労働者派遣法の抜本改正や最低賃金1,000円を軸としたナショナルミニマムの整備・拡充を重点課題にかかげて臨んだ。

総括は、今春の交渉環境について「連合が統一したベア要求を掲げず、賃金カーブ維持を要求としたため、2010年春闘の中心的な対立点が、定期昇給の確保となった」と分析。とくに「連合主力産別の回答日後は、『定昇、賃金体系維持』の克服を主要課題とせざるを得なかった」として、「集中回答日までに大企業の内部留保告発などの取り組みをより強めることが必要だ」と問題提起している。回答の到達状況では、「定昇あり」のところで、9割がベアゼロとなっている一方、定昇凍結は前年の半数以下に減少している。

論議では、「世論や宣伝よりも、具体的な統一行動が重要。そうでなければ力にならない」(JMIU)、「産別としての統一闘争が組めているか。職場闘争の弱体化が問題だ」(医労連)など、統一闘争の強化を訴える意見が出た。