連合と民主党、参院選に向け政策協定/「安定的な政権基盤の確立」めざす

(2010年6月18日 調査・解析部)

[労使]

 

連合と民主党は17日、7月の第22回参院選に向けた政策協定を締結した。「希望と安心の社会」の実現に向け、「ワークルールの確立による『ディーセントワーク』の実現」、「社会的セーフティネットの強化」、「税制の抜本改革と中長期的な財政再建への道筋の明示」など9項目の政策に重点的に取り組むことで合意。この政策協定のもと選挙協力を進め、「安定的な政権基盤の確立に向けて力を合わせて闘いに臨む」ことを確認した。

重点政策は「デフレ脱却」「税制抜本改革」など9項目

政策協定の調印は、この日の連合中央執行委員会に先立って行われ、民主党からは枝野幹事長と安住淳選対委員長が出席した。合意した重点政策は、連合が6月2日の中央委員会で確認した2011年度の「重点政策要求」がベースになっている。その柱は、 (1)デフレ脱却・消費回復に資する経済対策と雇用創出・人材育成、 (2)ワークルールの確立による「ディーセントワーク」の実現、 (3)社会的セーフティネットの強化、 (4)ワーク・ライフ・バランス社会の実現、 (5)公平・公正な社会の実現、 (6)くらしの安全・安心の確保、 (7)税制の抜本改革と中長期的な財政再建への道筋の明示、 (8)「新しい公共」と国民本位の行政システム確立、 (9)持続可能で公正なグローバル社会の実現――の9本。この重点政策の実現に向け、「連合は民主党を全面的に支援」し、個別課題の具体化については、両者で十分な協議を行うとしている。

「雇用憲章」(仮称)の策定や「子育て基金」の創設求める

個別課題について、ワークルール関係では、先の通常国会で継続審議となった改正労働者派遣法案の早期実現のほか、「ディーセントワーク」実現のテコとなる「雇用憲章」(仮称)の策定を求めている。社会的セーフティネットの強化では、第二のセーフティネットとなる「就労・生活支援給付制度の整備」や基礎年金の税方式(最低保障年金)の実現などを盛り込んだ。また、ワーク・ライフ・バランス関係では、子ども手当などの子育て支援財源を統合した「子育て基金(仮称)」の創設を明記。国連の「障害者権利条約」の批准と、「障がい者差別禁止法」(仮称)及び「雇用における障害者差別禁止法」の制定などでも合意した。

調印後の記者会見で古賀連合会長は、「税制の抜本改正」をめぐって、一部メディアから、「連合が消費税引き上げを容認」との報道がなされたことについて、「事実誤認」と反論。「税制の抜本改革は求めているが、今の段階で消費税引き上げを容認しているわけではない。連合は基礎年金の一部財源として消費税も検討はしているが、現在はそこまで。ただし、給付と負担の関係など税制の抜本改革の議論を否定するものではない」などと述べ、現段階で連合が消費清の引き上げを容認する考えのないことを説明した。

なお、7月の参院選で連合は連合組織内候補11人を比例代表で推薦しているほか、選挙区でも民主党公認・推薦候補を中心に54人(9日現在)の候補者に対する連合推薦を決めている。